LPG配送ショック(上)=関東の配送能力は前年下回る、陽品買収も影響
運転手の残業時間の上限を規制したことで配送能力が落ちる「2024年問題」で、2024年は年末にかけて関東エリアを中心にLPG配送の混乱が生じた。2025年の関東の配送能力は「前年よりもさらに低下している」と、LPGの荷主や運送会社は口を揃える。
関東の運送会社は運賃を引き上げることで、運転手の待遇を改善し人員のつなぎ止めに努めてきた。このため、運転手の数自体は大きく減っていないとするところが多い。しかしながら、法規制や運転手の高齢化などにより運転手を長時間拘束することが難しくなった結果、配送能力が落ち込んだという。
また、千葉県を拠点に関東広域のLPG配送を担ってきた陽品運輸倉庫が6月に宇佐美グループの三和エナジーに買収された影響も大きいと、LPGの市場関係者は指摘する。陽品運輸は相当量の配送を比較的割安な運賃で担っていたが、市場環境の変化により立ち行かなくなったとみられている。
陽品運輸は配送量を減らしつつ、運転手を確保するために、12月から大幅な運賃の引き上げを行った。運賃の引き上げを受け入れた荷主の依頼を優先すると強硬な姿勢を示す一方、値上げを受け入れても配送依頼を受けられない可能性があるとしているようだ。
荷主のなかには、運送会社を切り替えようとする動きも出ている。関東の運送会社1社によると、一部の配送先への荷主からの依頼が増えたという。この運送会社は陽品運輸からの配送需要が流れたとみている。しかしながら、陽品運輸が担っていた配送量を吸収する能力はないと、別の大手運送会社は指摘した。



