LPG配送ショック(中)=チャーター契約増加でスポット配送が逼迫
LPGの荷主は2024年末に配送困難に陥った反省を踏まえ、2025度から運送会社とのチャーター契約を増やしてきた。関東の配送を担う複数の運送会社は同年度からLPG元売りや商社からのチャーター依頼が増加し、半分以上を占めるまでになっている。一部には、ほとんどがチャーター契約で固まっている運送会社も見受けられた。荷物の少ない夏場の不需要期にも一定額の支払いを荷主から受けられるため、運送会社にとっては望ましいとの声が多い。
一方、チャーター割合の増加は反面でスポット割合の縮小をもたらす。夏場は問題にならないが、冬場の需要期になるとスポット配送需給が逼迫し、配送効率の悪いスポットの需要家向けへの配送の確保が困難となる。
昨年、配送困難が浮き彫りとなった長野県では問題がさらに深刻化している様子だ。同県の需要家が12月配送分のLPGスポット買い付け入札を実施したが、卸業者からの応札がなかったようだ。12月は配送が困難とあらかじめ運送会社から伝えられていた大手卸業者からは「入札の参加を辞退せざるを得なかった」との声も聞かれた。
年末にかけて長距離のスポット配送はますます困難となっている。配送懸念から需要家が前倒しでスポットの注文を入れるようになっており、12月22日以降のスポット配送枠が早い段階で埋まった運送会社がほとんどだ。LPG元売りや商社も長野県向けなどの長距離スポット配送を断るケースが多くなっている。
上記の長野県の需要家は最終的に「休日の特定の時間での配送」という条件を飲んでタンクローリーを保有する卸業者に配送を依頼したようだ。当然、休日の割増運賃についても応分に支払った。こうしたなか、大手卸業者1社が長野の需要家向けへの配送も視野に群馬県に中継基地を建設する計画も浮上している。



