LPG配送ショック(下)=配送需給の逼迫で届け高・蔵取り安が顕著
需要家からのスポット配送依頼が引きも切らない冬場はLPG卸業者にとっては商機でもある。配送の困難はLPGの荷余りにつながり、仕入れが安くなる傾向があるからだ。LPG元売りが自社で配送し切れず余ったLPGが商社を通じて蔵取りのスポット市場に流れ込み、スポット市況を押し下げる。
リム情報開発が発行する日刊『LPG』レポートによると、12月18日時点の川崎基地出しプロパンの卸業者間のスポット市況はトンあたり78,000円台前半と、LPG元売り各社の12月のターム仕切り価格対比で6,000円以上割安だ。4月は3,000円強の開きにとどまっていたタームとスポットの格差が需要期に差し掛かるにつれ、拡大する傾向がみられる。これだけ市況が下がってもなお、12月はスポット供給を止められないLPG元売りもいると、大手商社は指摘する。
一方、冬場は運賃込みのLPGの値段には目をつぶる需要家が多い。事業を継続させるための原燃料の配送が最優先されるためだ。関東のガス会社のなかには、運賃の引き上げを自ら提案し、代わりに配送を安定させることを約束させる向きも見受けられるほど、需要期には配送が重要視される。
こうしたなか、卸業者勢はスポット配送を確保するのに躍起になっている。タンクローリーを確保できれば、蔵取りでの商談で優位に立てるためだ。関東の有力卸業者は付き合いのある運送会社にこまめに連絡し、12月22日以降の配送にキャンセルが出ていないか頻繁に確認しているという。空きがなくても、キャンセルが出た場合、すぐに連絡するようにお願いすることは忘れない。



