アストモス=プロパンの仕切り価格体系にモントベルビューを導入
アストモスエネルギー株式会社(以下、アストモス)は4日、都内で記者懇談会を開き、2017年1月からプロパンの仕切り価格体系に、米テキサス州モントベルビュー市場のプロパン市況(以下、MB)を導入すると発表した。同社はこれまで、サウジアラムコが毎月決定する指標価格(CP)に基づいた仕切り価格体系を採用してきた。これはFOB価格に、CPの2カ月平均値(前月CPと当月CPの平均)を採用し、それに諸掛け(フレート、石油石炭税1,860円/トン、基地経費、その他込み)とバンカーサーチャージ(バンカーC重油価格×為替×0.04-1,700円)を加える方式だ。一方、新しい価格体系では、FOB価格にMBを取り入れ、CP平均値を7割、MBを3割の割合で混合させる方式に変更。MBは前月の1日~末日の平均値を採取し、調達にかかる経費として105ドルを上乗せする。 FOB価格の採用月がCPとMBで異なる点について、アストモス関係者は「中東からの輸送期間が18日間であり、日本着の中東玉が前月~当月で積まれるのに対し、米国からの輸送期間はパナマ運河経由で30日間となるため、前月MBの月間平均値を採用するに至った」としている。サウジアラムコの公示価格であるCPと異なり、MB値は米国の石油価格報告会社が日次公表する変動市況価格の一つ。今回、アストモスは、MBの中でも米エンタープライズ社との売買取引きの際に指標として使用されているnon-TET価格の前月1日~末日の月間平均値を採用する意向だ。また、調達経費105ドルの内訳については、中東・北米地域とのフレート差額分、バンカー、パナマ運河通峡料、米国での積荷に掛かるターミナルフィーを勘案した価格と説明。ただ、この詳細について同社はコメントを控えた。 アストモスの米国からの2015年4月~2016年3月のプロパン輸入量は266万トン、そのうち約3割である88万トンが米国からの輸入玉。パナマ運河の開通で、米国からのより安定的な輸送が可能になったと可能と判断し、今回の変更に至ったという。また、「中長期的な視点で米国からの輸入量を3割程度に保てる」(アストモス関係者)との見込みから、新仕切り価格のCPとMBの割合を7:3に決定したようだ。 先月から今月にかけ、アストモスは既に特約店や顧客に対して新しい仕切り価格体系を説明済み。本価格体系の適用は、2017年1月出荷分からを予定している。なお、米国からの輸入はプロパンのみであるため、ブタンについては従来のどおり仕切り価格体系となる。 |