LPG=8月仕切りのフレートコストは上昇見通し
じり安の続いていた超大型ガス船(VLGC)のスポットフレート(運賃)相場が、7月に入って緩やかに回復していることを受け、液化石油ガス(LPG)の8月仕切り価格におけるフレートコストは7月に比べて小幅上昇する見通しが強まってきた。広域ディーラーの関係者によると、ENEOSグローブの8月仕切り価格フレートコストはプロパン分が6,000円、ブタン分が5,200円とそれぞれ100円上昇する見込み。リム情報開発による17日時点の価格評価では、中東/極東のフレート相場がトン当たり35~36ドルと1日比22.4%上昇した(図1)。米ガルフ/極東(パナマ経由)も64~66ドルと同8.3%高。
図1=VLGCスポットフレート相場 7月1~17日(※リムの価格評価)
フレート相場が強含んだ背景には、複数の要因が重なっている。先週、8月に極東へ到着するLPGの需要が強まり、プロパンとブタンそのもののスポット相場が上がった。LPGの一大消費地である極東向けの価格が上昇したことで、世界最大の輸出国である米国からの引き取りペースが加速。カーゴを積み込むための船腹需要が米ガルフで強まり、世界全体のフレート相場が上げ基調に転じた。
さらに、中東から近いインドでは、モンスーンによる気象海象の悪化で、荷揚げを終えるまでの日数が長引いている。ただ、インドの国営輸入業者は8月上旬に中東でカーゴを積み込むためのスポット船を物色中だ。「インド向けの船腹需給が引き締まってきたことも、相場を押し上げる一因になっている」と日本元売りの関係者は指摘する。
一方、フレート相場の今後の動向はアジアでの需要しだいとみられている。インドやインドネシア、日中韓といった主要消費国は多かれ少なかれ、新型コロナの感染拡大による経済活動の停滞に直面している。この景気低迷から抜け出してLPGの消費量が回復すれば、米国や中東からの荷動きが活発化し、船腹需要の回復につれてフレート相場の続伸も見込まれる。元売りの関係者によると、「来月から再来月にかけて、(中東/極東の)相場が40ドル台を回復する可能性もある」という。2020年の平均フレート価格は今年初めに中東/極東相場で65ドル前後と予想されていたが、ここまでのところは52ドル前後に留まっている(図2)。
図2=VLGCスポットフレート相場 2019年1月~2020年6月(※リムの月間価格評価)
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