バイオバンカー市況=堅調な需要で小じっかり 18日
バイオ混合率最大25%のVLSFO価格の気配値はロッテルダム渡しで1,020.00~1,120.00ドルという。このところの原油安に伴うVLSFO価格の下落を背景に、ロッテルダム渡しのバイオVLSFO価格の上値は下押しされた。2023年から開始する欧州経済領域(EEA)海上の航海に使用されるバンカー油に対する新たな課税制度の具体的な開始時期は暗礁に乗り上げられているものの、バイオバンカーに対する需要は堅調なようだ。この結果、下値は引き上げられたもよう。
バイオ混合率最大25%のVLSFO価格の気配値はシンガポール渡しで1,060.00~1,160.00ドル程度という。VLSFO価格の小幅高に加え、堅調な廃食油マーケットに牽引されシンガポール渡し価格は先週と比べ下支えられた。
ロッテルダムおよびシンガポールのいずれも下値が引き上げられた理由として、海運業界全体でバイオバンカーへの需要が伸びていることが予想されている。特に、内燃機関の大幅な改造が困難な買い手や、LNGや水素、アンモニアなど供給基盤の新規開発が難しい売り手にとって、バイオバンカーへの参入が比較的容易だという。ロッテルダムだけでなく、ドバイ沖、シンガポールではトライアルの供給が進められており、急速に事業は拡大傾向にあるようだ。
一方、現在のトライアルで供給されたバイオバンカーは給油後すぐに使用するため、実使用条件での問題が明確ではないと懸念されているもよう。特に、外航船ではバンカリング後最大3か月間は燃料タンクにバンカーを保管する可能性もあり、多くの船会社はバクテリアの発生などを警戒している。市場関係者によると、水素化分解油(HVO)を使用すれば、バクテリアさらに窒素酸化物(NOx)の発生は抑えられるという。しかし、バイオ燃料の水素化処理が可能な施設を併設する港がロッテルダムのよう主要なバンカー港などに限られているため、現状バイオバンカー価格の下値は支えられやすい状態にあるようだ。また、バイオ燃料を使用する持続可能な航空燃料(SAF)へ廃食油の供給がますます増加するため、バイオ燃料そのものの需給が逼迫する見通し。