日本郵船=自動車専用船がイエメン沖で拿捕、船舶の航路にも影響
日本郵船は20日、英国ギャラクシーマリタイム社から傭船した自動車専用船「ギャラクシー・リーダー」が、19日にイエメンのホダイデ沖で拿捕されたと発表した。トルコのイスタンブールからインドに向けて航海していた。同社によると、貨物を積んでいないものの、乗組員25名の安否を確認できていないという。同社は今後、乗組員の人命第一に対応していく。船舶が周辺の航路を避けて喜望峰経由のルートを検討したり、紅海付近では減速航海を解除するといった動きが出ており、各国のバンカー油供給にも影響が広がるとの観測が聞かれる。
イスラエル海運会社のZIMの船舶は、イエメン沖の航路を敬遠することを検討しているようだ。シンガポールからARAの航路を18ノットで進んだ場合、スエズ経由で約26日、喜望峰経由で36日かかるため、傭船料の高騰につながる。バンカー油を調達する港の変更を余儀なくされるケースも出てくるという。市場関係者によると、喜望峰経由の船舶が増えた場合、シンガポール、ARA、ジブラルタル/アルヘシラスでのバンカー需要が増える見通し。いまのところ、中東フジャイラ港でのバンカー規制や需給逼迫は聞かれない。スエズでのバンカー運搬の影響も出ておらず、いずれ通常通りバンカー受け渡しを行っている。
国際海事機関(IMO)は2030年までに400GT以上の外航船に対し、炭素強度を2008年比で40%削減するため、EEXI規制値やCII格付け導入を進めている。ただし、悪天候や海賊の攻撃といった非常時には解除が認められている。