バイオ混合率最大30%のVLSFO価格の気配値は、ロッテルダム渡しで800.00~820.00ドル、バイオ混合率最大24%のVLSFO価格の気配値は、シンガポール渡しで764.00~784.00ドルといずれも小幅に続伸している。市況連動相場の商いでは、前者がFOBロッテルダム0.5%S重油市況(バージ)に対し205~215ドルのプレミアム、後者がシンガポール0.5%S重油市況比で130~145ドルのプレミアムで成約されているようだ。欧州連合域内排出量取引制度(EUA)では、二酸化炭素(CO2)の先物価格が27日現在、トンあたり60ユーロ台で推移している。
ロッテルダムでは廃食油の需要が堅調で、バイオ価格が上昇している。また、欧州域内で石油製品の精製が減少しており、バイオ燃料の供給が減少している。このためB30-VLSFO価格が上昇した。一方、シンガポールでは、スポット需要の低下に加え、安価なバイオディーゼルが調達できるマレーシア等に需要が分散しているため、B24-VLSFO価格の上値が抑えられている。
このところの中国出しUCOME価格高を反映し、バイオディーゼル価格が上昇しているようだ。マレーシアやインドネシアのパーム油およびパーム椰子殻(PKS)の販売価格が上昇した影響で、廃食油価格も上昇しているという。また、中国から米国向けのUCOME輸出が増加し、世界的にUCOME価格も値上がりしている。
ただ、相場の上げ幅は限定的との指摘もある。持続可能な航空燃料(SAF)、トラック等の陸送燃料、また船舶燃料としての需要拡大には程遠く、液体バイオ燃料の余剰感が強まっている。足元の需要の弱さから、大手エネルギー会社はバイオ燃料の精製から撤退を表明している。シェブロン子会社のシェブロン・リニューアブル・エネジー社は3月、同社が保有する米アイオワ州ラルストンとウィスコンシン州マディソンにあるバイオディーゼル精製プラントの閉鎖を発表した。採算性の悪化が要因という。
国際民間航空機関(ICAO)は、国際航空におけるGHG排出量を、2030年までにSAFなどのクリーンエネルギーの利用を通じて炭素排出量を5%削減する目標を掲げる。国際海事機関(IMO)も同年までに、国際海運からのGHG排出量を08年比で20~30%削減することを目指している。各業界で段階的な燃料シフトが続いているものの、既存燃料からの本格的な転換が進んでおらず、需給の緩みにつながっているようだ。
<PR>レポートのお知らせ
|
バンカーオイルレポートでは、世界主要40港のバンカー油の価格動向や主要港の需給状況。 LNGやバイオバンカーと言った脱炭素燃料の情報を定期的に掲載しています。
詳細はアイコンをクリックしてください。
|

|
|