バイオ混合率最大30%のVLSFO価格の気配値は、ロッテルダム渡しで826.00~846.00ドル、バイオ混合率最大24%のVLSFO価格の気配値は、シンガポール渡しで775.00~795.00ドルといずれも先週から強含んでいる。市況連動相場の商いでは、前者がFOBロッテルダム0.5%S重油市況(バージ)に対し218~228ドルのプレミアム、後者がシンガポール0.5%S重油市況比で137~147ドルのプレミアムで成約されているようだ。欧州連合域内排出量取引制度(EUA)では、二酸化炭素(CO2)の先物価格が17日現在、トンあたり71ユーロ台前半で推移している。
中国ではこのところ、一定の品質を担保している廃食油メチルエステル(UCOME)の供給、貯蔵タンクが減少しており、価格が大幅に上昇している。UCOはバイオ燃料の原料に使用される。市場関係者によると、脂肪が分解されて生じる遊離脂肪酸(FFA)の含有率が10~15%のUCOが中国国内向けに出荷され、UCOME生産が大幅に減少しているようだ。UCOMEの生産にはFFA最大含有量5%のUCOが適しているという。
中国では、一部の業者が一時、低品質のUCOを回収していたものの、これら業者が事業を撤退したことで、UCO全体の回収量が減少。原料が不足してUCOMEの輸出が大幅に少なくなっているという。また、欧州の一部のバイオディーゼル生産会社は、材料が明らかではないUCOMEが中国から輸出されていることに懸念を示し、引き続き同国からのUCOME輸入を抑えているようだ。
一方、バイオバンカー需要は徐々に高まりを見せている。コンテナ船や自動車船向けの需要は底堅く、主要供給港であるロッテルダムとシンガポールでは指標価格に対するプレミアムがわずかに拡大傾向にあるという。特にシンガポールでは3月末以降、台湾や韓国などの船会社から引き合いが増えている。また、中国のバイオバンカー供給業者は24年以降、徐々に供給を増やし、同国の船会社も調達を増やす見通し。需要拡大観測がいまのところ相場を下支えしている。
市場では、バイオバンカー、持続可能な航空機燃料(SAF)、バイオディーゼルの間で基材の取り合いを警戒する声があるものの、いまのところそのような事態にはなっておらず、SAFやバイオバンカー価格は急騰していない。いずれの燃料もGHG削減目標の直近の節目は2030年で、航空や海運業界関係者は、こうした燃料の導入は、世界的に2~3年後からが本格化するとみている。
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