バイオ混合率最大30%のVLSFO価格の気配値は、ロッテルダム渡しで750.00~753.00ドル、バイオ混合率最大24%のVLSFO価格の気配値は、シンガポール渡しで717.00~720.00ドルといずれも先週から下落した。市況連動相場の商いでは、前者がFOBロッテルダム0.5%S重油市況(バージ)に対し195~205ドルのプレミアム、後者がシンガポール0.5%S重油市況比で116~119ドルのプレミアムで取引されているようだ。
中国出し廃食油(UCO)およびメチルエスチル化した廃食油(UCOME)価格の下落を受け、バイオバンカー価格が下落している。また、バイオバンカー需要の後退から、在庫に潤沢感が台頭しているようだ。欧州連合域内排出量取引制度(EUA)では、二酸化炭素(CO2)の先物価格が17日現在、トンあたり66ユーロ台半ばで推移している。
世界最大の輸出国である中国出しのUCOとUCOME相場は下落傾向にある。同国内の回収業者の品質管理トラブルが明らかになったことで、需要が大幅に低迷しているようだ。7月半ばには、国内の燃料輸送トラックを洗浄しないまま食用油を回収したことが報道され、需要後退に拍車をかけた。一方、中国から欧州域内に輸出するバイオ燃料が意図的に安価に設定されているとし、欧州委員会は昨年12月から中国からのバイオ燃料輸入に関する反ダンピング調査を実施。当初、調査結果は6月29日に発表予定だったが、7月19日に延期。市場関係者によると、調査結果が中国出しのUCOやUCOMEといったバイオ燃料やその基材の輸入に今後関わる可能性がある。足元の8月渡しの中国出しUCOMEは1,050~1,080ドルで取引されているようだ。ただし、認証済みUCOMEであれば、欧州諸国は引き続き中国品を調達しているほか、米国品の輸入も続けており、相場の下落を抑えている面があるという。
割安なLNGとの価格競争に押され、バイオバンカー需要はやや後退している。シンガポールやロッテルダムでは、LNGバンカー価格がVLSFO価格と同水準まで下落しており、LNG燃料船の需要が右肩上がりという。LNGバンカー用のバージの増加も見込まれており、LNGが代替燃料として位置付けられつつある。一方で、バイオバンカーのサプライヤーも需要拡大を目的に、唱えを引き下げ熾烈な価格競争を繰り広げているものの、バイオ燃料の慢性的な供給不安が付きまとい、相場の大幅な引き下げには至らない。欧州では地中海地域やロッテルダム以外の北西欧州の主要港、アジアでは韓国や中国南部でバイオバンカー供給が増えていることにより、世界のハブ港であるロッテルダムやシンガポールでの調達機会が減ったことも相場下落につながっているようだ。
大手船会社のマースクは、リスク回避を目的にメタノールへの投資を縮小し、グリーンアンモニアとLNGバンカーの事業拡大を計画している。中国でグリーンメタノール供給の遅れていることが要因の一つといわれる。ブルー/グリーンアンモニアは2027年には990万トン程度が生産可能になるとの声が聞かれ、メタノールよりも現実味を帯びているとの声が聞かれた。いずれの燃料も新造船は2026年以降の竣工予定で、燃料供給体制や港湾を含むインフラ整備を急ピッチで進める必要性があるという。また、買い手側が調達契約を結ぶ必要があるとの声も聞かれた。
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