JOGMEC=炭素中立に向けた方針と行動計画を策定
石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は20日、政府の掲げる「2050年カーボンニュートラル」(炭素中立:温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする)の実現に向けて、基本方針と行動計画を策定したと発表した。それによると、(1)クリーンな資源エネルギーへの取組強化、(2)脱炭素燃料・技術への取組強化、(3)脱炭素化に必要な制度整備への貢献―の3つを基本方針とする。行動計画には、〔1〕気候変動に配慮した化石燃料開発の推進と脱炭素化、〔2〕LNGの安定供給と市場拡大の促進、〔3〕地熱開発の促進、〔4〕金属鉱物資源開発の促進と脱炭素化、〔5〕燃料としての水素・アンモニア製造に対する支援、〔6〕包括的なCCS(二酸化炭素回収・貯留技術)への支援―などを盛り込んだ。
CCS技術で水素・アンモニア製造を支援 行動計画のうち、燃料としての水素とアンモニアでは、CCS技術などを通じて貢献する構え。低価格で安定した供給体制の観点から、当面、化石燃料から水素やアンモニアを製造し、CO2をCCSで処理する「ブルー」水素と「ブルー」アンモニアの利用が大きな部分を占めると想定。JOGMECでは、これまでの地下評価や実証系研究のノウハウの蓄積を基にCCSによる製造支援に取り組む。加えて、CCSにとどまらず、上流の資源開発も抱合した支援も視野に入れる。 JOGMECは、すでに、東シベリアと日本を結ぶアンモニア供給網の実行可能性調査を昨年12月から実施している。露イルクーツク石油(INK)と伊藤忠商事、東洋エンジニアリングも参加し、INKが生産する水素や天然ガスをアンモニアに変換し、日本へ輸送する事業について調査中。加えて、今年3月には、インドネシアでアンモニア燃料を生産するため、CCS開発を目指す共同調査の実施について、バンドン工科大学、現地のアンモニア製造販売企業であるパンチャ・アマラ・ウタマ、三菱商事との間で、覚書を取り交わした。今後、貯留候補地の地層データの収集や、シミュレーション、分析、評価などを実施し、アンモニア燃料生産の可能性を探る。このほか、褐炭など石炭の水素化について事業性評価の支援も検討する方針。 |