民間協議会= 神戸・関西圏の水素需要、31年に推計33万トン
神戸・関西圏水素利活用協議会は17日、同圏内の2031年の水素需要を33万トン程度とする報告書を発表した。同協議会には、総合商社の丸紅やガス商社の岩谷産業など12社が会員として参加し、2030年の水素商用化に向けた具体策の検討を進めている。2020年度の検討結果としてまとめた今回の報告書には、2031年の推計値として供給量を34万トン程度、豪州の褐炭などを原料とする液化水素の製造価格を1Nm3(ノルマルリューベ:*)あたり30.8円などとする試算も盛り込んだ。次の2021年度は、今回の結果を踏まえ各社ごとに水素事業の実行可能性調査を実施する計画。
水素発電が需要拡大に寄与 報告書によると、水素需要の主軸は発電向けとなると予想される。協議会は、発電利用の需要予測で、中型設備は、発電燃料としての水素の混焼開始が2023年以降、専焼開始が2025年以降とし、大型設備については、混焼開始が2025年以降、専焼を始めるのが2028年以降となることを前提条件とした。ただ、今回はこうした技術開発の面から発電向けの需要を試算したものの、さらに今後、供給価格と供給可能量も考慮した検討が必要という。 供給面では、海外からの輸入水素が大半を占めると予想した。協議会は、川崎重工と電源開発による公開情報を参考に検討。試算した結果、2026~2030年の実証化段階では約2.4万トンにとどまるものの、商用化段階に入ることが見込まれる2031年以降には、33万8,000トンを供給できる可能性があるとした。 水素の製造価格は、豪州の褐炭を原料とする液化水素で、現在の1Nm3あたり42.3円が、2031年に30.8円に低下すると推計。これに輸送コストなどを加味すると、発電所向けの供給価格は33.3~34.3円と想定される。一方、国内で再生可能エネルギーを使用して製造する水素は、2031年に50円と、現状の120円から半値未満に値下がりする見通し。 協議会の他の会員企業は、関西電力、川崎重工、シェルジャパン、電源開発、ENEOS、川崎汽船、三菱パワー、大林組、神戸製鋼、パナソニック。経済産業省と国土交通省、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、神戸市はオブザーバーとして、協議会と連携。デロイトトーマツコンサルティングは、丸紅、岩谷産業とともに事務局を務める。 * 「標準状態」での気体の体積。
図表2点の出所:「神戸・関西圏水素利活用協議会レポート(2020年度)」
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