三井住友海上=再エネのアグリゲーション実証事業に参画
三井住友海上火災保険は9日、経済産業省による今年度の再生可能エネルギー・アグリゲーション(*1)実証事業に参画すると発表した。同事業では、太陽光発電や風力発電などの再エネ発電設備と蓄電池などを組み合わせ、需給バランスを安定させるために発電量予測や蓄電池などの制御技術を実証する。実証事業を通じて三井住友海上は、再エネアグリゲーターや再エネ発電事業者に生じるインバランスリスク(*2)を補償する保険商品を2022年4月までに開発する計画。
三井住友海上は、東芝ネクストクラフトベルケ、再エネアグリゲーターなどと共同事業体(コンソーシアム)を設立し、実証事業を実施する。東芝ネクストが事業体の中心。実証では、再エネアグリゲーター事業に生じるインバランスリスクの回避と収益性の向上を目指す。検証の項目は、発電量の予測技術や蓄電池等の制御技術、市場取引の戦略技術に加え、需要・発電バランシンググループ(*3)の連携によるインバランスの回避手法と再エネアグリゲーターの事業性。
三井住友海上が実証事業に参画する背景は、電力業界に導入が予定されている新制度。再エネで発電した電気の固定価格買取制度(FIT制度)に加え、市場連動型のFIP制度が2022年4月から導入される。FIP制度は、再エネ発電事業者に正確な発電量予測に基づく供給(計画値同時同量)を義務づけており、当初計画と発電実績に差が生じた場合はインバランス料金の支払い責務(インバランスリスク)が生じる。インバランスリスクは、再エネ発電事業者の安定的な事業運営や信用に影響を与え、再エネ事業の普及を妨げる要因の一つ。三井住友海上は、インバランスリスクを補償する保険商品の開発を通じて、再エネの普及の後押しを目指すという。
*1 アグリゲーション. 分残する電源の発電状況を集約・指示する一方、需要家の電力需要を束ね、効率的・安定的にエネルギーを制御する事業者。 *2 電力の事前の計画値と実績値の差。 *3 複数の事業者がグループでまとまり、グループ内で需給をまとめ相互支援する。集団としてインバランス(計画と実績の差異)の精算を実施する。
図の出所: 資源エネルギー庁資料 「アグリゲーターの制度設計」2020年10月16日
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