戸田建設=下水汚泥からの水素生成事業へ参画
戸田建設はこのたび、東京都水道局との共同研究「下水汚泥からの水素製造技術」に、ジャパンブルーエナジー(JBEC)などと共同で、参画を表明した。東京下水道局の研究施設にJBECが手掛ける水素製造装置を設置し、研究施設の下水汚泥を乾燥後、加熱によって発生したガスから水素を生成する取り組みを進める。下水汚泥の乾燥にはボイラー等を使用するためCO2が発生するものの、同社によると、以下3つの方法でカーボンフリーにとどまらずカーボンネガティブ(CO2排出量より吸収量が多い状態)を最終的な達成目標に据えるという。1.下水汚泥の乾燥にはボイラーではなく、ガス発生装置から発生する排熱等を利用する。2. 改質により水素を含んだ空気を作ることで発生するCO2を園芸向けに利用するなど、CO2貯蔵・回収技術を有効活用する。3. 生成した水素は発電燃料としてガス発生装置の電力源としても再利用する。
生成コスト面においては、「下水汚泥をバイオマスとして利用するため原材料コストは限りなくゼロに近い。加えて、下水汚泥処理費用をむしろ資金として収受できるため、ガス化設備費用が掛かってもコストは割安で済む」と同社関係者はいう。
短期的には、2022年度に1日あたり5トンの下水汚泥(乾燥後では同1~2トン相当)を処理する能力を有する設備を中小自治体向けへ販売開始する。中長期的には、大型プラントの導入にも着手し、スケールメリットによるコスト低減を図ることで、東京都などの大規模自治体向けへの展開も目指していく計画だ。