TOYO= バイオジェット燃料、商用飛行に世界初供給
|
東洋エンジニアリング(TOYO)は18日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、三菱パワー、JERA、宇宙航空開発機構(JAXA)との共同で開発したバイオジェット燃料(生物由来のジェット燃料)を、世界で初めて商用飛行に供給したと発表した。TOYOなどが共同開発したのは、木くずなどを原料に純バイオジェット燃料(*1)を製造する技術と供給網(サプライチェーン)。日本航空が17日、生産されたバイオ燃料を東京国際空港(羽田)から新千歳空港を結ぶJL515便で使用した。今後、さらに商用規模の生産に対応できるバイオジェット燃料製造技術の開発に取り組む。
開発、2017年度に開始 共同開発は、NEDOが持続可能な代替航空燃料(SAF*2)の商用化を目指す「バイオジェット燃料生産技術開発事業」による委託を受けて2017年度に始まった。開発内容は、原料となる木くずなどを調達し純バイオジェット燃料を製造する一貫体制の実証と、燃料を航空機に給油するまでの供給網(サプライチェーン)の構築。
名古屋に実証プラント建設 名古屋市にあるJERAの新名古屋火力発電所内にパイロットプラントを建設した。プラントの原料処理能力は1日に約0.7トンで、合成燃料の製造量が1日に80リットル。このうちうちジェット燃料は、日量27リットル。同プラントで、木くずなどを原料としてSAFの一貫製造の実証試験を実施した。実証での役割分担は、JERAが原料調達とパイロットプラントの運転、三菱パワーが原料のガス化、TOYOが生成ガスから液体炭化水素燃料の製造(FT合成*3)、水素化分解(*4)、蒸留と混合(*5)以後のサプライチェーン構築、JAXAが製造されたSAFの燃焼特性試験。
国際規格に適合 木くずなどから製造された純バイオジェット燃料は2020年8月に国際規格である「ASTM D7566 Annex1」に適合することを確認(*6)。その後。製造した燃料の全量(2,366リットル)が同規格に合格したという。さらにこれを既存の石油由来のジェット燃料(JET A-1)と混合したSAFも今年3月、同規格に適合することを確認した。
*1 バイオマス原料から製造する純度100%のバイオジェット燃料 *2 Sustainable Aviation Fuel *3 FT(Fischer-Tropsch)合成:合成ガス(一酸化炭素と水素の混合ガス)から触媒を用いて液状炭化水素を合成する技術 *4高温・高圧のもとで炭化水素を触媒の使用などで分解し、軽質の炭化水素に転化させること *5 SAFを航空機に使用する際は、工業材料規格と試験法規格からなる国際標準化・規格設定機関であるASTM Internationalが定める各Annex規格に準拠し、石油由来のジェット燃料(JET A-1)と混合することが要件 *6 ASTM D7566 Annex 1:変換プロセス Fischer-Tropsch(FT)を対象とした規格。
原料調達から純バイオジェット燃料製造までのプロセス
図の出所: 東洋エンジニアリング 発表資料
|




