三菱商=炭素クレジット販売の豪州企業に資本参加
三菱商事は29日、豪州の炭素(カーボン)クレジット販売会社であるオーストラリアン・インテグレイテッド・カーボン(エーアイカーボン)の株式40%を取得したと発表した。エーアイカーボンは豪州で原生林の再生プロジェクトを通じた二酸化炭素(CO2)の吸収と、それに伴う豪州政府認証の炭素クレジット販売を扱う。対象のプロジェクトは、過去の伐採や過放牧によって消失した原生林の再生を促すもので、農家の牧畜方法の見直しや改善を通じて原生林を再生し大気中のCO2を吸収、固着する。CO2 の吸収規模は、年間で最大約500万トン、2050年までに累計約1億トンを見込む。三菱商は今回の資本参加を足掛かりとして、原生林再生プロジェクトのノウハウを蓄積し、豪州にとどまらず世界の他地域に同プロジェクトを拡大、展開する方針。
豪政府、脱炭素で原生林再生を奨励 豪州の炭素クレジット制度は日本政府内の議論や調査などでも取り上げられることがある。三菱商によると豪州の関連事情は以下のとおり。 豪州政府は、2015年以降合計45.5億豪ドル(約3,770億円:*)を拠出してカーボンクレジットの買取制度を確立し、これまで多数の入札実績がある。入札市場の取引量は、2020年には年間約1,600万トンと世界有数の規模に達し、現在も成長中。また、原生林再生プロジェクトは、脱炭素の手法の中で高い事業性とコスト競争力を両立する上、生物多様性の維持や土壌改善、干ばつへの耐性向上、農家の収益安定化などをもたらすという。こうしたことから、豪州政府は同プロジェクトの導入を奨励し、同国のパリ協定の目標達成における重要な取り組みとして位置付けている。 * 三菱UFJ銀行の為替レート(TTS)29日:1豪ドル=82.86円で換算。
図の出所: 三菱商事 記者発表
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