大林組=地熱発電を利用した水素製造システムを実証、グリーン水素を供給へ
大林組は2021年7月、大分県玖珠郡九重町で地熱発電を利用した水素製造システムの実証プラントを完成し、水素の出荷を開始した。複数の需要先へ地熱発電を活用したグリーン水素を供給する一連のプロセスは、日本初の実証試験だ。
実証プラントは、出力125kW(送電端120kW)のバイナリー式地熱発電システムと10Nm3の製造能力を持つグリーン水素製造システムを組み合わせ、現状はそのうち部分発電により50~60kWを利用し水素を製造する。発電状況によっては、系統から電力購入して補完する仕組みだ。同社によると、本実証のように小規模な地熱発電は蒸気の噴気量が若干変動するため発電量も変動するものの、ほかの再生可能エネルギーに比べれば十分安定した電源といえるという。また、系統電源を購入するのは、実証においてグリーン水素の要件を満たす範囲で系統電源を補完することで、水素製造量の最大化を目的として系統電源を補完して水素製造するモードを備えているためとしている。
システム全体は、同社が独自開発したエネルギーマネジメントシステム(EMS)で制御する。このEMSを通じて、水素単価優先、水素グリーン度優先、水素製造量優先といったケース毎に製造した場合のコストなどを算出する複数の制御を実現できるという。同社は、このシステムによって、より合理的な価格を導き出すことを目指す。
また、システム利用により製造された水素は、トヨタ自動車グループに供給され、燃料電池車や燃料電池フォークリフトで利用する算段だ。そのほか、ヤンマーパワーテクノロジー、水素エネルギー製品研究試験センター(HyTReC)、福岡酸素、大分EBL水素ステーションなどへも供給される計画。