日豪6社=グリーン液化水素の供給網、事業化調査で覚書
岩谷産業など日本企業4社と豪州2社は15日、豪州クイーンズランド州グラッドストン地区で再生可能エネルギー由来の水素(グリーン水素)を大規模に製造・液化し日本へ輸出するプロジェクトについて、事業化調査を共同で実施することに合意し、覚書を締結したと発表した。岩谷産業のほか川崎重工業、関西電力、丸紅、豪州のエネルギー・インフラ企業スタンウェル、APTマネジメント・サービシズがプロジェクトに参加する。6社は長期安定的で安価な水素の製造と供給を目指す。水素の目標生産量は、2026年頃に日量100トン以上、2031年以降に800トン以上。記者発表によると、2031年以降の目標を達成すれば、現在の日本の液化水素生産の1日あたり最大規模である日量30トンと比べ26倍の生産量を確保できるという。
製造技術から商用化モデルまで幅広く検討 事業化調査では、主にグリーン水素の製造技術や、水素を液化するプラントの建設、運搬船建造、所要の資金調達、環境評価(アセスメント)、商用化モデルについて検討する。日豪両政府は2021 年6 月13 日に「技術を通じた脱炭素化に関する日豪パートナーシップ」を締結しており、6社は事業化調査の実施で、日本の経済産業省と豪州の再生可能エネルギー庁(ARENA)から支援を得る予定。岩谷産業とスタンウェルは6社による覚書締結に先立ち、2019年から大規模なグリーン液化水素の製造と日本への輸出に向けた調査をしてきた。 事業化調査が予定される豪州クイーンズランド州は、年間300日以上が晴天で太陽光発電に適切な地域。6社は、スタンウェルが水素の製造拠点としてグラッドストン地区のアルドガ地域に確保している約235ヘクタールの用地に加え、水素液化・積荷拠点として確保予定のフィッシャーマンズランディングにある約100ヘクタールの土地を活用することも検討する。 州政府は産業指針の1つとして化石燃料から再生可能エネルギー・水素へのエネルギートランジション(移行)を打ち出している。スタンウェルは、同州政府が所有する電力公社で、指針達成の向けた役割を担う。プロジェクトで生産される水素は、日本への輸出用にとどまらず、豪州国内の需要先への供給も検討する予定。
写真の出所: 6社記者発表
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