NEDO=CO2などを用いたプラ原料の製造技術開発を開始
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、(1)ナフサ(*1)分解炉の高度化技術、(2)廃プラスチック・廃ゴムからの化学品製造技術、(3)二酸化炭素(CO2)を原料とする機能性化学品の製造技術、(4)アルコール類を原料とする化学品の製造技術―の4項目について開発に取り組むと発表した。プロジェクトの予算総額は1,234億円で、2021年度から2030年度まで実施する予定。これは、政府が進めるグリーンイノベーション基金事業(総額2兆円)の一環。NEDOはカーボンニュートラル(炭素中立)を実現する上で必要となるコストの低減や、用途開発のための技術を確立し、社会実装を目指す。加えて、カーボンリサイクル・プラ原料の製造技術を国際標準化し、ライセンスビジネスによる海外展開を通して新興国などで新規需要を獲得することも視野に置く。
アンモニアや水素関連の事業も実証へ NEDOが4項目のプロジェクトで採択したテーマは8件。事業としては9件で構成されており、アンモニアや水素に関連した案件を含む。三井化学が幹事社を務める案件は、アンモニア燃料のナフサ分解炉実用化がテーマ。アンモニアバーナーとアンモニアバーナーに適したナフサ分解炉を開発し、数万トン規模の実証試験を実施する。事業規模は233億円。そのうち支援規模が166億円の見通し。一方、人工光合成(参照図)による化学原料の製造を目指す事業では、三菱ケミカルが中心となり水素関連の2件の開発と実証に取り組む。1件は光触媒技術と太陽光を利用した安価なグリーン水素を製造するシステムの開発を目指す。事業規模が217億6,000万円、支援が169億円の見込み。もう1件は、グリーン水素とCO2を原料として、高効率にメタノール(*2)を製造し、これを原料とするオレフィン(*3)製造の技術確立が目標。211億1,000万円の事業規模のうち、支援は133億8,000万円を予定。
*1: 石油化学製品の原料となる軽質油(粗製ガソリン) *2: アルコールの一種。樹脂など化学製品の原料などとして使われる *3: オレフィン樹脂: プラスチック製品の原料で、耐寒性を持つポリエチレン、耐熱性に優れたポリプロピレンなどがある。
表の出所: NEDO 記者発表
参照図の出所: 資源エネルギー庁ウエブサイト
|