産総研=超耐熱性プラスチックの再利用技術を開発
産業技術総合研究所は24日、耐熱性と耐薬品性に優れたスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)の再利用技術を開発したと発表した。スーパーエンプラの代表的製品であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)をモノマー(単量体)単位へ分解することに世界で初めて成功したという。新技術によるPEEKの分解により、別の製品の合成に利用可能なジチオベンゾフェノンと、PEEKの原料であるヒドロキノンを獲得できる。理論上で獲得できる最大量に対する実際の量を表す「収率」は、ジチオベンゾフェノンが93%、ヒドロキノンが95%という高い水準を達成した。 PEEKは、自動車や航空宇宙、電気・電子分野の関連部品、医療機器や薬品・溶剤・腐食性ガスの製造ラインの関連部品など、安全性が求められる製品において広く利用されている。産総研によると、生産量は現在、世界で6,000トン程度と言われ、プラスチック全体の生産量の中では少ない。ただ、産業社会において不可欠な材料であるため、今後増加すると見通し。 一方、スーパーエンプラのケミカルリサイクル(化学的処理による再利用)の確立は、化学的結合の高い安定性のために極めて困難。これまではポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリエーテルスルホン(PESU)を対象とする少数例にとどまる。スーパーエンプラの再利用が進まなければ、環境への負荷増大や、将来的な製品の使用禁止の可能性がある。高額な製品であるため、廃棄が経済的な損失につながりやすいことからも、再利用技術の必要性が高まっているとされる。産総研は新開発の技術がPEEK以外のスーパーエンプラへの応用が可能とみている。
図の出所: 産業技術総合研究所 記者発表
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