住友林業・IHI=熱帯泥炭地コンサルで合弁、炭素クレジット創出も
住友林業とIHIはこのほど合弁会社を設立し、熱帯の泥炭地や森林を管理するコンサルティングサービスを開始すると発表した。手始めにインドネシアで事業を展開する。炭素クレジット創出の事業化も目指す。14日の発表によると、コンサル事業では住友林業が2010年から蓄積したデータを基に熱帯泥炭地を管理するAI(人工知能)モデルと、地下水位や気象情報をリアルタイムでモニタリングする観測システムを導入する。炭素クレジットは泥炭地の森林や土壌による炭素吸収・固定量を計測して創出する予定。 枯れた植物が水中で分解されないで堆積した熱帯泥炭地は、地下水位が下がり乾燥すると、炭素を多く含む泥炭が分解・消失するだけでなく燃えやすくなる。このため、熱帯泥炭地の二酸化炭素(CO2)削減の効果を維持するためには、地下水位の管理が重要になるとされている。 住友林業は熱帯泥炭地の持続的管理に世界で初めて成功し、インドネシアで10年以上に渡ってデータを蓄積したという。合弁会社が同データを基に泥炭地管理のAIモデルを構築中。IHIのドローン(小型無人航空機)や人工衛星データの利用技術、気象観測・予測技術と合わせて、泥炭地の情報をリアルタイムで収集し提供する。将来的には、AIモデルを使い短期間で適切な管理計画を植林企業や農園企業などに提案し、温室効果ガスの排出を削減する。 炭素クレジット事業では、熱帯泥炭地の森林や土壌の炭素吸収量や固定量を正確に計測することに加えて、自然資本としての価値も評価した炭素クレジットを創出する計画。自然資本としては、生物多様性や水循環の保全、地域社会への貢献といった要素を付加価値として評価する。合弁会社と住友林業、IHIが連携して熱帯泥炭地の評価に必要な技術を開発する。確立した評価手法の国際的なスタンダード化も目指す。
図の出所: 住友林業・IHI 記者発表
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