三井化学=大阪工場を脱炭素化へ、燃料のアンモニア転換などを計画
三井化学はこのほど、主力工場のひとつである大阪工場(大阪府高石市)の脱炭素化計画を策定した。2030年ごろに実装可能な技術を利用し、堺・泉北臨海コンビナート内にある同工場で、ナフサクラッカー(ナフサ分解装置)の燃料転換や原料転換、二酸化炭素(CO2)の活用・貯蔵を進める。大阪工場の製品は、オレフィンやアロマティクスを原料とするポリプロピレンやフェノールなどの誘導品。大阪工場では現在、自社事業に由来するスコープ1と、使用する電力や熱、蒸気に由来するスコープ2の合計で年間約160万トンのCO2を排出する。 燃料は、製造時のCO2排出量が少ないアンモニアに転換する。クラッカーの分解炉でナフサを約85度で熱分解する際の燃料を、現在使用しているメタンから環境配慮型のアンモニアに置き換え、排出するCO2を削減する。全ての分解炉の燃料を転換すれば、約70万トンのCO2が削減される見込み。 現在、原料として使用している化石原料由来のナフサを、バイオマス由来のナフサや廃プラスチックを油化した生成油に転換する。新しい原料でバイオマス化学品を製造し、工場で排出する20万トンのCO2に対し、投入したバイオマス原料の特性を割り当てて(マスバランス方式・物質収支方式)、CO2排出を相殺することを検討する。 CO2の利用と貯蔵にも取り組む。ナフサクラッカーで生産する副生ガス・油を用役プラント(水や蒸気などを製造プラントに供給する設備)などで活用する際、排出される70万トンのCO2を回収装置と液化装置により液化する。液化したCO2は、一部をコンビナート内の他社との連携により活用(CCU)し、他の一部を地中への貯留・圧入(CCS)する計画。
(脱炭素化計画のイメージ図) 図の出所: 三井化学 発表資料(6月1日)
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