東証=カーボン・クレジット市場を10月に開設へ、制度要綱案を発表
東京証券取引所は10月をめどにカーボン・クレジット市場を開設する。9日に制度要綱案を公表し、パブリックコメント(意見公募)を開始した。取引参加の登録申込み受け付けは7月からの予定。取引の対象は当初、二酸化炭素(CO2)の削減量を国が認証する「Jクレジット」とし、取引方法などの大枠は、今年1月まで実施した実証の過程で検討を加えながら定めた規定を踏襲する。 取引するクレジットは、省エネルギーと再生可能エネルギー(電力)、再エネ(熱)、再エネ(電力と熱の混合)、森林、その他の6区分。加えて、Jクレジットの前身である国内クレジットとJ-VER(2区分)、地域版Jクレジットなどその他(5区分)も扱う。 一方、取引規定の細目については市場開設に伴い、実証時の内容を一部変更・廃止するほか、新しい項目も加える。制限値幅は基準値段の90%とし、実証時の100%から引き下げる。参加者が他者の注文の取り次ぎをすることは不可とするが、顧客と相対の取引を実施した上で参加者自身が取引所で売買することは可能。このほか、取引の参加者名を取引所のウエブサイトで公表することなどが予定されている。 政府は今年2月に閣議決定した「GX実現に向けた基本方針」に、カーボンプライシング(炭素価格付け)の制度設計として「排出量取引制度」の導入を盛り込んだ。2023年度からの試行取引を経たうえで、2026年度からの本格稼働を目指す。 排出量取引の本格稼働時には市場の予見性を高めるため、政府は先行き5年程度の期間を念頭に、緩やかな上昇傾向を示す価格帯(上限と下限の価格)を設定する方針。東証のJクレジットの取引が予定通り10月に始まりカーボン・クレジット市場が開設されれば、その価格データが諸外国の炭素価格とともに、排出量取引の価格帯設定で参考とされる見通し。
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