JOGMEC=CO2回収・貯留の事業支援の候補7件選定、年1,300万トン
エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は13日、国内で排出される二酸化炭素(CO2)を回収・貯留(CCS)する事業を支援するため、候補のプロジェクト7件を選定したと発表した。発電や石油精製、鉄鋼、化学、紙・パルプ、セメントなどの企業が各案件に参画し、北海道や関東、中部、近畿、瀬戸内、九州などの産業集積地で排出されるCO2の回収と貯留を目指す。CO2貯留量の計画は7件の合計で年間約1,300万トン。貯留地については、5件が国内、2件がアジア大洋州を想定する。 政府は2月に閣議決定した「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」で、2030年までのCCS事業開始に向けた環境を整備するため、模範となる先進性のあるプロジェクトを支援していく方針を示した。JOGMECが今回選定したのは今年度に事業性調査を行う案件で、今後、契約締結に向けた協議を行う。 7件の概要は以下のとおり。
(1) 苫小牧地域CCS事業 参加企業: 石油資源開発、出光興産、北海道電力 貯留地域: 苫小牧地域(油・ガス田、または帯水層) 貯留量: 年約150万トン 排出源: 苫小牧地域の製油所、発電所 (2) 日本海側東北地方CCS事業 参加企業:伊藤忠商事、日本製鉄、太平洋セメント、三菱重工業、伊藤忠石油開発、INPEX、大成建設 貯留地域: 日本海側東北地方ほか(海域帯水層) 貯留量: 年約200万トン 排出源: 全国、製鉄所、セメント工場や貯留候補地の排出事業者 (3) 東新潟地域CCS事業 参加企業: 石油資源開発、東北電力、三菱ガス化学、北越コーポレーション、野村総合研究所 貯留地域: 新潟県内(既存の油・ガス田) 貯留量: 年約150万トン 排出源: 新潟県の化学工場、製紙工場、発電所 (4) 首都圏CCS事業 参加企業: INPEX、日本製鉄、関東天然瓦斯開発 貯留地域: 首都圏ほか(海域帯水層) 貯留量: 年約100万トン 排出源: 首都圏の製鉄所を含む複数産業 (5) 九州北部沖~西部沖CCS事業 参加企業: ENEOS、JX石油開発、電源開発 貯留地域: 九州北部沖~西部沖(海域帯水層) 貯留量: 年約300万トン 排出源: 瀬戸内、九州(西日本の製油所、火力発電所) (6) マレーシア マレー半島東海岸沖CCS事業 参加企業: 三井物産 貯留地域: マレーシア、マレー半島東海岸沖(海域減退油ガス田、帯水層) 貯留量: 年約200万トン 排出源: 近畿、九州地域などの化学・石油精製を含む複数の産業 (7) 大洋州CCS事業 参加企業: 三菱商事、日本製鉄、エクソンモービル・アジアパシフィック 貯留地域: 大洋州(海域減退油・ガス田、帯水層) 貯留量: 年約200万トン 排出源: 中部(名古屋、四日市)の製鉄所を含む複数産業
(イメージ図) 図の出所: エネルギー・金属鉱物資源機構 発表資料
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