国交省=液化水素の貨物タンク、商用化にらみ新要件で豪州と合意
国土交通省はこのほど、液化水素の国際的な供給網構築に必要な新しい貨物タンクの要件で豪州政府と合意した。水素の商用化向けた液化水素の大量輸送に対応するため、大型の液化水素運搬船の建造に対応できる要件を定めた。新しい貨物タンク断熱システムは、内外2層の殻で構成し、内殻と外殻の間の空間を水素ガスで満たし、高い断熱性能を確保する。 日本では現在、1基あたり4万立法メートルの貨物タンクを4基搭載し、合計16万立法メートルの液化水素を運搬できる貨物船の建造が計画されているという。今後、新しい合意に基づいて、大型の液化水素運搬船の設計が行われる。 日豪は2017年、液化水素の運送要件で暫定的に合意し、2021年12月には世界初となる液化水素運送の実証実験が両国間で実施された。2017年の合意は、積載可能量1,250立法メートルの実験船を想定したもので、貨物タンクの内殻と外殻の間を真空にして断熱する構造。商用化のため大型化する場合、真空ではタンクの強度を高めることが必要となり技術的に難しい。このため、新要件のタンクには、入手しやすく、液化水素の極低温(マイナス253度以下)に対応できる水素ガスを充填する。 国交省は、国際海事機関(IMO)で現在進行中の関連する取り決めの見直しで、日豪間で今回合意した液化水素の運送要件が反映されるよう議論を主導する構え。
(*3:液化水素の温度は-253℃以下と極低温であるため、水素(沸点マイナス253℃)やヘリウム(沸点マイナス269℃)以外の気体を充填した場合は液化してしまうこと、ヘリウムは希少資源であることから水素ガスを充填 (一部省略) ) 図の出所:国土交通省 (6月19日)発表資料
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