大林組・トヨタ=炭素繊維強化プラの廃棄物、コンクリ補強材で再利用
大林組とトヨタ自動車は、燃料電池車「MIRAI(ミライ)」の水素タンクに使用されている炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の端材をコンクリート補強材として再生利用する技術を共同で開発した。愛知県みよし市にあるトヨタ明知工場内の部品置き場の床面に初めて適用した。両社は技術開発を進め、目標として2026年度までに製造システムを実装し、将来的には年間で3万立法メートルのコンクリートに新しい補強材を適用する計画。 「リカボクリート工法」と呼ばれる新技術では、燃料電池車の水素タンクを製造する段階で発生するCFRPの端材に独自の熱加工を施し、適切な長さに裁断する。これをコンクリに添加することで、ひび割れ抑制や強度向上が可能になるという。 9日の発表によると、新技術によりCFRPの性能を保ったまま連続的にはがすことができ、コンクリート補強材への加工が容易になった。再生加工したコンクリート補強材は、従来のポリプロピレン製補強材と比べ3分の2の量で同等以上の強度を持つ。今回、CFRPを再生加工した補強材は、新品の炭素繊維と比べ、二酸化炭素(CO2)排出量を15分の1、通常の補強用鉄筋と比べ9分の1にそれぞれ減らすことができた。 CFRPは、軽くて強度が高く、耐久性に優れ、水素を燃料とする燃料電池車の水素タンクや、航空機、風力発電の風車ブレードなどに利用されている。これまで、CFRPは性能を維持したままで再利用することが難しく、端材は電炉で鉄を再利用する工程の原料として利用される程度にとどまっていたという。
(炭素繊維強化プラ廃棄物の再利用・コンクリ補強材: イメージ) 図の出所: 大林組、トヨタ自動車 発表資料
|