経済産業省と環境省、農林水産省は18日、3省が共管し温室効果ガスの吸収・削減量を認証する「Jクレジット制度」で登録簿システムやホームページに記載した情報の一部に誤りがあったとし、事実関係とともに「関係者の皆様に多大なる御迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」とのコメントを発表した。東京証券取引所のJクレジット取引には影響がないという。再生可能エネルギー、省エネルギーといったクレジットの分類に影響を与え、機能や価格への影響が大きい可能性があると判断される誤りがあったのは、5件のプロジェクトのデータ。3省は該当するクレジット保有者には、誤りが確認された時点で謝罪とともに関連情報の修正が完了するまで取引を行わないように要請。登録情報は17日までに二重確認の上、修正された。
Jクレジット制度では、登録簿システムによりクレジットの創出や移転、使用などが記録される。同制度の運営業務は、国から委託を受けたみずほリサーチ&テクノロジーズが行う。3省の発表によると、今年2月頃、Jクレジットを利用している事業者から、委託事業者であるみずほリサーチ&テクノロジーズに対して「登録簿に記載されているクレジットの情報の一部に誤りがあるのではないか」との問い合わせがあったという。これ受け、委託事業者が確認したところ、実際にプロジェクトが生み出している再エネの電力量と、登録簿に記載されているJクレジットの持つ再エネの電力量に食い違いがあることを見つけた。調査したのは、これまで認証された計1,113件のプロジェクトから創出された1,036万トン(二酸化炭素・CO2換算)のクレジットの全数。誤りが見つかったプロジェクト5件のクレジット量はこれまでの全体の0.02%にあたる。
5件のプロジェクト名は、「観光施設(おきなわワールド)における照明設備の更新及び太陽光発電設備導入プロジェクト」(認証番号:1005601)、「びふか温泉への木質バイオマスボイラーおよび美深中学校への太陽光発電設備導入による CO2 排出量削減事業」(1009102)、「児島下水処理場における消化ガス発電設備導入事業」(1010801)、「定山渓万世閣ミリオーネ温泉熱を利用した省エネルギー事業」(1018301)、「十日町市ミオンなかさとペレットボイラー等整備事業」(1022301)。3省は5件のプロジェクトに基づくJクレジットについて、昨年10月に東証でカーボン・クレジット市場が開設されて以降、その保有者に変動はないため、東証では「取引されていないと評価」した。
5件のほかにも、「クレジットの機能や価格に大きな影響を与えるものではない誤り」も見つかった。クレジット量は全体の4%程度に相当する。3省は登録簿やホームページの情報を修正するとともに、委託事業者を通じて影響を受けた可能性のある事業者に連絡、謝罪し、個別相談に応じるための体制も構築する。委託事業者のみずほリサーチ&テクノロジーズに対し、厳重注意も行う。再発防止のため、委託事業者が今後、登録簿やホームページの情報の更新などを行う際の作業・確認の体制を強化するほか、国側も誤入力の防止に向けたシステムの改善を進める構え。

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