バイオ混合率最大30%のVLSFO価格の気配値は、ロッテルダム渡しで730.00~733.00ドル、バイオ混合率最大24%のVLSFO価格の気配値は、シンガポール渡しで733.00~736.00ドルといずれも先週から上昇した。市況連動相場の商いでは、前者がFOBロッテルダム0.5%S重油市況(バージ)に対し190~193ドルのプレミアム、後者がシンガポール0.5%S重油市況比で127~130ドルのプレミアムで取引されているようだ。欧州連合域内排出量取引制度(EUA)では、二酸化炭素(CO2)の先物価格が27日現在、トンあたり70ユーロ台後半で推移している。
バイオバンカーのサプライヤーによると、足元のVLSFOのタイト感を考慮し、シンガポールでのB24-VLSFOは同市況に対し155ドルのプレミアムでの成約を目指していた。市場関係者によると、品質を担保したVLSFOの供給が著しく低下し、最終的に供給するバイオバンカーも数量が減っているようだ。ただ、基材となるバイオ燃料は需要不振から潤沢感が強く、取引水準は同市況に対し127~130ドルのプレミアムにとどまった。
シンガポール港湾局(MPA)によると、2024年のバイオバンカー販売数量は3月の6万6,000トンが最も多く、それ以降も平均して毎月5万トン台前半を維持するものの、市場関係者が想定していた7万トンには及んでいない。一方、基材となるバイオ燃料の需要は弱く、シンガポールでは、中国などから輸入しているUCOやUCOMEの在庫が積み上がっており、潤沢感が強いという。
市場関係者によると、中国出しのUCO/UCOME価格が高止まりするなか、最終製品であるバイオバンカー等への利益転嫁も出来ていないという。欧州で中国品に対する反ダンピング調査が続いた期間、最大の需要家である欧州への輸出が減り、中国の輸出量は前年からほぼ半減しているという。中国国内では、UCO回収事業者およびUCOME製造企業の30%しか稼働しておらず、供給が滞っている。9月着シンガポール品のUCOMEは1,045~1,105ドルで取引されているようだ。
米国では、再生可能エネルギーを生産する少なくとも2社に対し、米国環境保護庁(EPA)が原料調達および供給網の調査を開始した。一部の企業が、不正な原料を使用してUCOを製造し、政府補助金を得た可能性があることが背景にあるという。同検査では、原料が政府の基準に適合しているか確認する。政府発表によると、アジアから流入するUCOにパーム油などの植物油が混ぜられているという。このため適正な価格設定がなされないとの懸念が出ている。同様の動きは欧州でも見受けられる。7月には中国産のUCO/UCOME/HVOに対して反ダンピング措置を発動。一部企業に対して8月から追加関税を適用している。バイオ燃料トレーダーは中国出しのUCO/UCOMEが一段と減少し、価格が高止まりするとの懸念を示している。
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