4社共同=「環境価値プラットフォーム」開発へ、時間帯別の価値に対応
電源開発、インダストリー・ワン、NSW、Scalar(スカラー)は、再生可能エネルギーの環境価値と時間的価値を証明するプラットフォーム(情報基盤)を共同開発する。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用して非化石電源が発電した時間を正確に記録し、需要データと紐づけることを目指す。4社はこのほど、開発の実現可能性を検証し、情報基盤を構築する手法を確立したという。今後、データの信頼性や正確さなどを第三者に証明することが可能なプラットフォームを開発する。 再エネの二酸化炭素(CO2)を発生しないという「環境価値」を扱う4社のプラットフォームは、データ改ざんの検知、非化石価値の蓄積と需給のマッチング(突き合わせ)、時間情報に基づく非化石エネルギー比率の可視化といった機能を持つ予定。データ改ざん検知の機能は、分散型台帳により発電や環境価値のデータが改ざんされていないことを保証する。蓄積とマッチングは、非化石電源から環境価値を分離して蓄積し、需要家のニーズに応じて配分する機能。非化石エネ比率の可視化では、時間ごとに変化する再エネ由来の電力供給量を捕捉し、非化石エネの比率を正確に計算する。 風や太陽光といった再エネ由来の電力は気象や天候に左右され供給量の変動が大きい。日本では、現行の時間帯証明のない非化石証書を活用した取引だけでは厳密な意味で同時性のある再エネ電力を調達していると証明することは困難。一方で、電力の脱炭素化の取組である「24/7カーボン・フリー・エネルギー・コンパクト(24/7 CFEコンパクト)」が、2021年に国連の主導で発足した。24/7 CFEコンパクトは、1時間単位の電力消費量に合わせてCO2排出ゼロの電力を常に(24時間・365日)供給し、リアルタイムで使用することが目標。今後、こうした国際的な潮流を受けて出力変動の大きい再エネの利用方法が厳しくなり、時間帯別の電力需給実態に応じた環境価値活用の必要性が高まる可能性がある。
(時間的価値を付与する「環境価値プラットフォーム」、イメージ) 図の出所: 電源開発、インダストリー・ワン、NSW、Scalar 発表資料(6日)
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