東京都=炭素クレジット取引システム、114トンで初成約―再エネ由来
東京都が運用する炭素クレジットの取引システムでこのほど、初めての約定が成立した。売買された炭素クレジットの種類は、政府が温室効果ガスの削減・吸収量を認証する「Jクレジット」。約定量は、二酸化炭素(CO2)換算で114トン。液化石油ガス(LPG)事業の富士瓦斯(フジガス、世田谷区)が、再生可能エネルギー由来のJクレジットを購入した。都によると、売買が成立したのは6月上旬。20日現在の都の公開情報では、「運送業における化石燃料からバイオディーゼルへの燃料の切り替え」によるJクレジットは、1トンあたり5,539円。 フジガスが購入したJクレジットを創出したプロジェクトでは、国内の企業が修理工場などにバイオディーゼル燃料(BDF)の精製・製造装置を導入し、近隣の主に飲食店150店舗から回収した廃油からBDFを精製。同社が保有するトラックの燃料としてBDFを使用することにより、軽油から燃料を転換し、CO2排出量を削減した。フジガスは、2025年3月から2026年2月までを対象に自社でのLPGと電気の使用で排出するCO2の推定値を算出し、114トン分のオフセット(相殺)を実施する予定。実績値が推定値を上回った場合、追加でオフセットを実施する予定という。 都は3月25日、中小企業などが内外の炭素クレジットを取引できるシステム「東京都カーボンクレジットマーケット」の運用を始めた。利用対象者は、国内の法人・団体で、利用登録とシステム利用が無料。Jクレジットのほか、海外の民間主導の炭素クレジット(ボランタリークレジット)も扱う。都のシステムは、炭素クレジットの認証機関ごとに必要な口座開設が不要であるほか、ブロックチェーン(分散型台帳)技術により、トークン(暗号資産)化して炭素クレジットを渡すことが可能。取引履歴も暗号化され、改ざん防止機能を持つ。トークンは、システムへの再出品(二次流通)ができる。
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