環境省=二国間クレジット、タイの案件でパリ協定6条による初の発行
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環境省は11日、日本と新興国などが協力して温室効果ガスを削減し成果を分け合う「二国間クレジット制度(JCM)」を活用したタイとの案件で、パリ協定第6条に基づく炭素クレジットを初めて発行したと発表した。今回発行したJCMクレジットは二酸化炭素(CO2)換算で2,017トン。このうちパリ協定により「国際的に移転される緩和成果(ITMOs)」と呼ばれる日本の取得分は1,009トン。政府は温室効果ガス削減量の二重計上を防止する手続きを踏まえ、2030年度の温室効果ガス削減目標(NDC)達成に向けて取得分を実績値に算入する。 環境省は発表文で、「パリ協定第6条に沿った二国間の協力であるJCMにおいて、日本とパートナー国が制度面および運用面の整備を重ねた結果として初めて実現したものであり、JCMの実効性を示す重要なマイルストーン」との見解を示した。 JCM初のITMOsとなったプロジェクトはタイで実施した5,000kWの水上太陽光発電システムの導入。システムの設置場所として工業用排水処理用のため池を利用した。プロジェクトには日本からTSBグリーンネックス、タイからTSBのタイ現地法人がそれぞれ参加した。JCMクレジットの発行対象期間は、2021年1月1日から2021年12月31日。 水上設置型太陽光発電システムは、フロート架台(浮舟式台座)や係留設備、耐久性の高い電気部品が必要となるため、陸上型システムよりも高価になる傾向があるという。一方、水上フローティング技術の活用により、太陽光パネルの温度上昇を抑えて発電効率を向上させるだけでなく、工業団地にとって不可欠な用水の蒸発を抑制する効果もある。環境省はプロジェクトに対し、2016年度にJCM設備補助事業を通じて資金を支援した。太陽光発電システムの商業運転開始は2020年1月。 |




