ニチアスは26日、静岡県浜松市のニチアス浜松研究所に、液化水素関連製品の開発を目的とした｢液化水素実験棟｣を新設すると発表した。竣工は2026年3月を予定している。

　液化水素は体積を気体の約800分の1に圧縮でき、輸送や貯蔵効率に優れる一方で、液化温度がマイナス253度と極めて低く、温度維持や設備の大型化に課題がある。断熱材やシール材を手がける同社は、その技術を活かして液化水素市場向け製品の開発を進めてきたが、液化水素の実液を用いた試験環境が国内には少ないため、自社で整備することにした。

　新実験棟には液化水素タンクを設置し、実験棟内に液化水素を供給して各種試験ができるほか、液化窒素(マイナス196度)や水素ガス、窒素ガスも供給し、さまざまな超低温実験に対応する施設とした。同社は、液化水素温度域での熱伝導率や強度など、材料の物性を評価、測定する装置の開発も進め、液化水素向け製品、サービスの開発を加速する方針だ。

（写真）前方左：液化窒素タンク、前方右：液化水素タンク、後方：水素実験棟

写真の出所　ニチアス　発表資料