欧州委=排出量取引制度の見直し案、産業界の負担軽減へ
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欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会は17日、排出量取引制度の見直しについて、産業界の負担軽減策などを盛り込んだ包括案を発表した。2030年、40年の排出削減目標など欧州気候法に沿った見直し。欧州委の提案によると、制度で定める二酸化炭素(CO2)排出の年間削減率について2031~35年を3.7%、36~40年を1.7%とした。既定の24~27年の4.3%、28~30年の4.4%に比べ削減率が緩やかになる。36~40年については、1990年時点のEUの温室効果ガス排出量の2%を上限に、域外で創出されたカーボンクレジット(炭素クレジット)の利用による削減を認めると提案した。欧州委は域外創出の「高品質な」炭素クレジットの利用を認めることで、海外での脱炭素化プロジェクトに対する資金提供を可能にできる面があるとしている。 脱炭素への激変緩和措置として企業に割り当てられる無償排出枠は、2026~30年の配分を60億ユーロ(約1兆1,000億円)分増やす。期間についても、炭素国境調整措置(CBAM)の対象である6分野に対する無償排出枠の割当は38年まで継続する。現行の規定では無償排出枠を26年から段階的に減らし34年に廃止する予定だった。排出削減が困難とされる鉄鋼、アルミニウム、セメント、肥料、電力、水素の各分野の脱炭素の取組に猶予を与えた格好。排出枠価格の安定化させる制度(MSR)については、市場変動に機動的に対応できるように仕組を修正する。 欧州委は産業界の負担軽減策のほかにも、脱炭素投資と排出量取引制度の対象範囲、域内の低所得国に対する支援策も見直した。脱炭素投資では、新たに「産業脱炭素化銀行」を設立し、欧州産業の脱炭素化に向けて1,000億ユーロ(約18兆6,000億円)の資金を提供する。さらに、加盟国に排出枠売却収入の50%を排出取引制度の対象部門の脱炭素化に向けた投資に充てることを義務づける。この措置により、脱炭素化向けの投資額を2030年までに1,000億ユーロ以上追加できる見込み。 排出量取引制度の対象範囲については、航空・海運部門の強化と、廃棄物焼却部門への拡大が包括案に盛り込まれた。欧州委は制度回避(制度の隙間の悪用)リスクに対処し、公平な競争条件の確保を図るとしている。船舶の場合、現行の規定では5,000トン以上の大型船が制度対象。廃棄物焼却については、関係者の間でリサイクルやCO2削減の遅れにつながるなどといった弊害が指摘されている。一方、低所得の加盟国に対する支援は、既存の基金(近代化基金)を通じた資金提供の継続などにとどまった。 |




