LNG=6月8~12日:北東アジア着が上昇、欧エネ企業の買い戻しで
DES北東アジアのスポット相場は上昇した。商いの中心となる7月後半着の相場は2.15~2.25ドルと5月末に比べ40~50セント高となった。複数の欧系エネルギー企業やトレーダーが北東アジアの長期契約者向けの買戻しに動いた。東北電力、石油資源開発(JAPEX)などに日本勢に加え、韓国高炉大手ポスコ、中国の独立系エネルギー企業なども割安感からスポット購入に動くなど需要が旺盛となった。露サハリン2プロジェクト(年産1,080万トン)、パプアニューギニアプロジェクト(PNGLNG、同690万トン)出しなどスポット玉も多いことから、一時的に相場の上値が重くなったが、市場のセンチメントは強気に振れた。
【FOB中東、DES南アジアおよび中東】 パキスタンおよびバングラディッシュ向けのLNGの需要は伸びを欠いた。パキスタンでは5月9日から、バングラディッシュでは6月1日から、一部地域でロックダウンが解除され始め、人と物の制限が緩和された。このため圧縮天然ガス(CNG)自動車の普及が進むこれら2カ国では、輸送用のLNG需要が徐々に増えると見込まれた。一方、両国では、各種工場、発電所向けのスポット需要はしばらく低迷するとの見方が強まった。欧系トレーダーは「パキスタンでは割安な石炭火力の稼働が上がっていることから今年に入りスポット需要が急減している。バングラディッシュでは、カタールガスとの長期契約で需要が満たされており、スポット需要はほぼない」と伝えた。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 露ヤマルプロジェクト(年産1,650万トン)出しのカーゴは、今季初めて北極海ルートで北東アジアへ仕向けられることになった。5月18日にヤマルプロジェクトで船積みしたTFDE型「クリストファデマーゴリエ」号(容量17万2,600立方メートル)は、6月13~14日に中国石油天然氣(ペトロチャイナ)の江蘇基地(年間受入能力620万トン)へ到着することが確実となった。ペトロチャイナが長期契約の一環で引き取る。一方、5月23日にヤマルプロジェクトで1カーゴを船積みしたTFDE型「ウラジミールボローニン」号(同17万2,410万トン)も6月下旬に中国へ入着する公算が大きい。 |
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