LNG=7月5~9日:北東アジア着相場は反落、割高感から買い控え進む
DES北東アジア着相場は軟化した。商いの中心となる9月前着が12.85~13.15ドルと先週末から55セント安となった。割高感を強める需要家の多くがスポット購入を見送る反面、ロシアや豪州出しを中心にスポット玉が旺盛となった。公益エネルギー企業など需要家が契約玉のスポット販売に動いたことも供給過剰感を強める要因となった。北東アジア着のスポット相場が長期契約の価格を3.00~4.00ドル上回っていることから、需要家が転売益の確保を優先させた。8~9日の市場では、中国国営エネルギー企業を始め公益エネルギー3~4社が8~9月着の販売を検討。6日の市場では、関西電力が長期契約として引き取る豪プルートプロジェクト(年産430万トン)出し1カーゴを、標準型「LNGエビス」号(容量14万5,000立方メートル)へ搭載して9月着ベースで日本の都市ガス会社へ販売した。価格は北東アジア着のスポット市況に対してディスカウントになった。
【FOB中東、DES南アジア、東南アジアおよび中東】 国営ガス会社(EGAS)は、5月25日締めで実施した入札で6月24~26日積み1カーゴを欧ガンボーへ9.17ドルで販売した。イドゥクプロジェクトではガンボーが、標準型「アルマローナ(Al Marrouna)」号(容量15万1,700立方メートル)を使用して6月24~25日に1カーゴを積載。ガンボーは最終的に、当該カーゴをパキスタンのガスポート基地(年間受入能力500万トン)へ7月5日着ベースで販売した。ガンボーはパキスタンLNGに対して、2017年起こしの5年契約を通して年間12カーゴ前後を販売しており、今回はこの契約に基づきイドゥク出しを供給した。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 欧州の天然ガス市場は、7月5日の終値でNBPは十数年ぶりの高値、TTFは最高値を記録した。ウクライナの今年10月以降に始まる4年契約、ベラルーシとポーランドが共同で開示した10月から始まる5年契約のそれぞれパイプライン使用権の入札で、ガスプロムの応札がなかったことから、ロシア産の天然ガスの欧州向け供給減の観測が広まり、欧州の天然ガス需給のタイト感が強まった。ロシアはバルト海底を経由してドイツへガスを送るパイプライン「ノルドストリーム2」の開通を早めたい意向。既存のパイプラインへの供給を必要最低限にとどめることで、「ノルドストリーム2」の重要性をアピールしている可能性が高い。
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