LNG=11月1~5日:マレーシアのビンツルプロジェクト、生産障害が長期化へ
マレーシアのビンツルプロジェクトでは、液化系列2基からなるティガプロジェクト(年産680万トン)および第9液化系列(同360万トン)へ原料の天然ガスを供給している複数のガス田で設備障害が発生するとともに、品質面でも支障が出ており、生産減少が長期化が見込まれた。ビンツル出しの長期契約を抱える日本の公益エネルギー企業は「12~3月の間で20カーゴくらいに影響が出そうだ。多くはカーゴ供給の遅れだが、幾つかキャンセルも出ているようだ」とした。ペトロナスが2016年以降に新たに締結もしくは契約条項の見直しを行った北東アジアの需要家と結ぶ長期契約の多くは、供給遅延や供給のキャンセルが発生した場合、ペトロナスは弁済の必要がない契約が少なく無い。このため今回、供給遅延やキャンセルが発生した場合、長期契約者がこれらの埋め合わせをする必要が出てくる可能性がある。長期契約価格に比べ足元のスポット相場が20.00ドル以上高い水準に推移しており、電力会社や都市ガス会社は、ペトロナスに対してカーゴを契約どおり供給するよう強く要請した。
【FOB中東、DES南アジア、東南アジアおよび中東】 PLLは5日、11月19~20日着と11月26~27日着計2カーゴの買付け入札を締め切る。PLLは9月中旬までに行った買付け入札で11月着4カーゴをスポット購入していたが、このうち欧ガンボーと伊炭化水素公社(ENI)が落札した計2カーゴが供給できない事態となった。PLLは購入に動かざるを得なくなった。ガンボーは赤道ギニアプロジェクト(年産370万トン)出し1カーゴをPLL向けに供給する予定だったが、同プロジェクトは不調により供給について不可抗力条項(フォースマジュール)が宣言された。一方ENIは、PLL向けカーゴをENIに提供する予定だったサプライヤーが商業的な理由で供給を拒否した。南アジアの需要家は「ENIのサプライヤーは9月中旬までの価格よりも現行価格で販売した方が利益が出ると判断したようだ」と指摘している。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 西アフリカのビオコ島にある赤道ギニアプロジェクトは9月末以降、生産設備の故障により出荷が停止したままとなった。同プロジェクトでは月間5~6カーゴ出荷しているが、その多くは権益を有する英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが北東アジアの長期契約者向けに供給されたもの。欧トレーダーは「ロイヤル・ダッチ・シェルが赤道ギニアプロジェクトから出荷できなかった分を他のプロジェクト出しカーゴで補填していたため、赤道ギニアプロジェクトのトラブルはこれまで表面化していなかった」と指摘した。
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