LNG=1月10~14日:ビンツル出しの供給キャンセル、長期契約者への影響が深刻化
日本の電力会社、都市ガス会社、韓国および中国のエネルギー企業の一部は12月以降、マレーシアのビンツルプロジェクト(年産2,800万トン)における生産障害の影響を受け、同国国営ペトロナスにより長期契約玉の供給キャンセルを受けた。ビンツルプロジェクトでは2月以降、生産量が回復する見込みとなったが、12~1月着のカーゴに対するキャンセルはペトロナスが撤回しておらず、キャンセルが確定しており、長期契約者の多くが代替購入を余儀なくされた。ペトロナスによるキャンセルは、12~1月着で20カーゴに及ぶとの見方も出るなど影響は大きくなった。予定された長期契約による供給であれば10.00ドル前後、高くても11.00~12.00ドルで購入できたものが、12~1月着をスポット購入しなくてはならず、この場合、高いものでは40.00ドルを上回るものも具現した。長期契約玉とスポットカーゴの価格差は、20.00~30.00ドルとなるなど、代替購入を余儀なくされた長期契約者への影響は深刻となった。
【FOB中東、DES南アジア、東南アジアおよび中東】 カタールのラスラファンプロジェクト(年産7,800万トン)出しは、カタールガスが英サウスフック基地(年間受入能力1,540万トン)向けの供給を絞った。親会社の国営カタール石油(QP)が基地使用権を持つサウスフック基地向けの転送を抑え、北東アジアや欧州の長期契約者向けの供給を優先した。カタールガスはラスラファンプロジェクト出しについて、10月4カーゴ、11月5カーゴをそれぞれサウスフック基地へ仕向けたが、12月は転送を見送った。欧系トレーダーは「長期契約者の多くが上方数量弾力性(UQT)条項を行使してラスラファン出しの冬場着の引き取りを増やした結果、カタールガスの供給余力が減少したとしている。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 露ノバテックは、ヤマルプロジェクト(年産1,650万トン)の対岸に新たにアークティックLNG2プロジェクト(同1,980万トン)を建設中。アークティックLNG2プロジェクトの第1液化系列は2023年に一部稼働を開始し、2025年中にフル稼働となる予定。三井物産と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は同プロジェクトに出資しており、10%の権益を保持している。北東アジア需要家は「アークティックLNG2プロジェクトは主にアジア向けの供給を想定しているが、流氷がある時期などは大西洋向けの供給もあり得るだろう」と指摘した。
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