LNG=2月28日~3月4日:サハリン2出し、長期契約に基づく供給が継続
【DES北東アジア】 日本および中国の需要家は、期先着カーゴの買付けを見送った。ロシア産LNGの供給動向を見極めたうえで買付け準備を再開すると見られた。北東アジア向けが中心となるロシアのサハリン2プロジェクト(年産1,080万トン)出しのLNGは、日本や韓国の需要家が、長期契約によるLNGの引き取りを続ける一方、スポット購入を控える動きが強まった。欧州連合(EU)は3月2日、ロシアに対する制裁の一環として、ロシアの複数の銀行を国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除することにしたが、LNGや原油などエネルギー資源の販売代金を受け取るガスプロムバンクや最大手の銀行など一部を制裁の対象から外した。日本企業は「欧州企業勢は今後しばらく、ロシアからの天然ガスの供給を以前と同様に引き取ることが可能となる見通しであり、北東アジア向けのサハリン2プロジェクト出しのLNGについても、日本、韓国と台湾の需要家は、長期契約に基づく供給に関しては引き取りを続けるもよう」と伝えた。 【FOB中東、DES南アジアおよび中東】 カタールガスは、国営カタール石油(QP)が権益および基地使用権を持つ英サウスフック基地(年間受入能力1,540万トン)向けに、ラスラファンプロジェクト(年産7,800万トン)出しの供給量を増やした。カタールガスは1月、ラスラファン出しをサウスフック基地へ容量21万立方メートルのQフレックス型による輸送を含め、計4カーゴ、約38万トンを転送した。2月は5カーゴ、計45万トンをサウスフック基地向けに供給した。カタールガスは昨年1月、サウスフック基地向けの転送を見送るとともに、2月の供給量は2カーゴ約12万トンにとどまっていた。 【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 英国政府が3月1日、露ヤマルプロジェクト(年産1,650万トン)出しの受入れを禁止したため、3月上旬に英グレイン基地(年間受入能力1,430万トン)で荷揚げ予定だったロシア産LNGを積んだTFDE型「クリストフデマルゲリ」号(容量17万2,600立方メートル)は、仕向け地を仏モントワール基地(同800万トン)に急遽変更した。グレイン基地ではここ数カ月、ヤマルプロジェクト出しを月3カーゴ前後引き取っていたため、今後もヤマルプロジェクト出しを積んだ船は仕向け地変更が行われるとの見方が強まった。他の欧州諸国も英国の方針に倣い、ロシア産LNGの受入れを取りやめる見通しとなった。欧系トレーダーは「ウクライナ情勢が不透明なことから、予防的にロシア産のエネルギー資源の輸入を取りやめる動きが見られる」と伝えた。 |