電力=2月28日~3月4日:3月入り後も下げ幅限定的、ベースで20円台続く
2月28日~3月4日受渡の電力スポット価格24時間の週間平均は、東西ともに前週比で続落。ただ、3月入り後も下げ幅は限定的で、九州を除くエリアでベース価格は20円台が続いた。気温は春らしい陽気が続いたものの、3月1日から複数の火力発電が定期点検に入ったほか、関西電力の高浜原発3号機(定格出力87万kW、PWR型、福井県高浜町)も1日に定検入りとなるなど、予備力は大きく低下。1日以降の売り入札量は11億kWh未満となり、買い超の展開が続いた。 さらに、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響により、ロシア産の原油やガス、石炭などの供給不安が急速に高まり、燃料相場は暴騰。海外原油相場は100ドルを超え、WTIやブレントのいずれも110ドル台に達したほか、北東アジア市場のLNG相場も週後半にはmmBtuあたり50ドルを突破、さらに豪州の一般炭相場は期近で440ドル台に達するなど、混乱が続いた。今後の日本への燃料価格の影響が懸念されるとともに、電力価格への波及を不安視する声も相次いだ。 こうした市場動向を映し、電力先物市場では一段高の成約も散見。22年3月限ではベースで20円超の約定も見られるなど、先高を警戒する動きが強まった。
週を通じた実勢高値は、3日に西日本で付けた40.35円だった。一方、実勢安値は0.01円となり、2月28日に東北と九州、2日と3日に九州、4日に東北でそれぞれ付けた。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比2.21円安の20.87円、東北が同2.26円安の20.93円、東京が同1.97円安の21.31円、中部、北陸、関西が同1.22円安の22.08円、中国が同1.23円安の22.07円、四国が同1.26円安の22.04円、九州が同1.90円安の15.05円だった。 売買入札量の週間平均は、前週比で売りが2.7%減の10億9,760万3,860kWh、買いが5.8%減の11億4,802万9,760kWhとなった。約定量の週間平均は、前週から5.4%減の9億2,188万2,300kWhだった。
2月28日~3月4日の9エリアの電力需要は132億8,318万4,000kWhとなり、前週2月21~25日の150億8,463万6,000kWhから11.9%減少した。なお、曜日を合わせた前年の3月1~5日の需要実績は127億8,480万8,000kWhで、前年からの増加率は3.9%となった。
2月28日~3月4日のJEPXの先渡市場では、約定が確認されなかった。
2月28日~3月4日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
2月28日~3月4日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
3月第二週の価格も、大きな変化はなさそう。気温動向は、週初めこそ低めの気温が予想されているものの、週半ば以降は西日本で15度以上の地域が増えるほか、関東でも15度前後で推移すると見られ、週後半に向け気温の上昇傾向が進む見通しとなっている。また、天気は週を通じて晴れ間の地域が多くなる予報で、週後半に西日本で崩れる見通しだが、潤沢な太陽光発電が見込まれる。気象動向だけ見れば、価格は軟化傾向が進むと見られるが、定検などで停止する火力発電が一段と増えるため、予備力は一段と低下するほか、燃料高も続く見通しで、下げ余地は限られると見られる。
|