電力=3月7日~11日:前週比で大幅高、燃料相場の暴騰が押し上げ要因
3月7~11日受渡の電力スポット価格24時間の週間平均は、東西ともに前週比で大幅高。燃料相場が一段と騰勢を強めたほか、週前半は寒さが強まったこともあり、東西ともに価格が急騰。7日には西日本全域で、8日には東北から九州の8エリアで、それぞれ実質的な上限価格である80.00円を付けるコマが散見。これを受け、ベース価格は7日の中部から四国、8日の東北と東京でそれぞれ40円超に達した。その後、気温上昇と晴れ間の広がりで週後半に向け価格が右肩下がりとなり、11日受渡では全エリアでベース価格が30円を下回った。なお、11日から関西電力の大飯原発4号機(定格出力118万kW、PWR型、福井県おおい町)が定期点検に入った。再稼働は7月上旬の予定で、営業運転に戻るのは8月上旬が予定されている。 燃料価格については、7日の市場でWTI原油相場が130ドルを付けたほか、ブレント原油は139ドルまで買われる場面が見られた。また、北東アジア市場のLNG相場では、8日に過去最高値となるmmBtuあたり60ドル台に達し、欧州の天然ガスおよびLNG相場の上昇に連動する動きとなった。豪州の一般炭相場も、7日の市場で場中に過去最高値となる487.50ドルに達した。なお、これ以降は週後半に向けて下げる動きとなったものの、いずれも記録的な上昇となり、今後の日本の輸入価格への影響が懸念されている。
週を通じた実勢高値は80.00円となり、7日に西日本、8日に東北から九州の8エリアとシステムプライスでそれぞれ付けた。一方、実勢安値は8日から11日の九州で付けた0.01円だった。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比8.55円高の29.42円、東北が同11.69円高の32.62円、東京が同11.48円高の32.79円、中部が同12.82円高の34.90円、北陸、関西が同12.54円高の34.62円、中国が同12.55円高の34.62円、四国が同12.58円高の34.62円、九州が同6.01円高の21.06円だった。 売買入札量の週間平均は、前週比で売りが3.3%減の10億6,169万3,930kWh、買いが0.3%増の11億5,098万7,890kWhとなった。約定量の週間平均は、前週から0.4%減の9億1,825万1,320kWhだった。
3月7~11日の9エリアの電力需要は132億5,626万3,000kWhとなり、前週2月28日~3月4日の132億8,318万4,000kWhから0.2%減少した。なお、曜日を合わせた前年の3月8~12日の需要実績は126億9,825万8,000kWhで、前年からの増加率は4.4%となった。
3月7~11日のJEPXの先渡市場では、約定が確認されなかった。
3月7~11日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
3月7~11日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
3月第三週の価格は、昼間が底上げ傾向となる可能性がありそうだ。気温は引き続き過ごしやすい日が続くため、需要は大きな変化はないと見られるが、天気は今週に比べ雲の多い日が多くなる予報で、太陽光発電は減少すると見られる。このため、昼間価格の上値を抑制する材料となっている太陽光発の減少で、高値水準が続いている夕方や夜間の価格にサヤ寄せする動きになると見られる。燃料動向は不透明感が強まっているものの、ロシアとウクライナ情勢次第で値動きが大きくなる展開が続くと見られる。
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