電力=3月14~18日:週間平均は前週比で軟化、18日は東で暴騰
3月14~18日受渡の電力スポット価格24時間の週間平均は、東西ともに前週比で軟化したが、18日受渡で東日本が暴騰、西日本も大幅高となった影響で、週間平均価格の下げ幅が抑制された。14日の週は、広い地域で気温が上昇傾向となり、電力需要の鈍化傾向が進んだことを映し、スポット価格も軟化傾向が進んだ。17日受渡までは、24時間平均が東日本で21円台から22円台、西日本では15日受渡以降、20円未満が続き、16日受渡では14円台まで軟化した。 ただ、16日23時36分ごろに発生した、福島県沖を震源とする最大震度6強、マグニチュード7.4の地震の影響により、東日本で複数の火力発電設備が停止。停止した火力発電は、東北電力やJERAの設備を中心に14基計647万8,750kWに達した。18日の天気は、全国的に雨模様で、気温も低下する見通しとなっていたため、ある程度の価格上昇が予想されていたものの、東北地震の影響により東日本の価格上昇に拍車がかかった。 東日本では、昼間中心に夜間の一部時間帯でも80.00円が並び、17時~21時30分では80.01円を付けた。スポット市場で80.00円を上回る高値を付けたのは、昨年1月24日受渡の東日本で付けた200円以来で、こうした動きに市場関係者からは「80.00円で買えなかった場合のリスクを考えて、入札価格を引き上げる動きが強まった影響。インバランスを考えれば、80.00円を上回る価格で調達する理由はないが、今回はインバランス云々というより供給力確保のための買い」(新電力の需給担当者)との声も上がった。こうした動きに、18日受渡の24時間平均は東京が71.90円、東北が69.30円、北海道が64.64円と、昨年1月以来の価格水準に達した。なお、東北エリアでは、地震の影響で需給逼迫懸念も強まり、18日に北海道と東京から緊急融通が実施された。 燃料価格については、高値調整の動きが進み、海外原油相場では100ドルを割り込む動きとなった。北東アジア市場のLNG相場では週後半にmmBtuあたり30ドル台と、8日に付けた過去最高値から半値の水準となった。豪州の一般炭相場も、週後半に22年4月物で250ドル前後と、高値から半値近い水準まで下落した。
週を通じた実勢高値は、18日の東日本3エリアで付けた80.01円となった。一方、実勢安値は0.01円で、14日に九州、15日と16日は西日本6エリアとシステムプライス、17日は西日本6エリアで付けた。特に16日受渡では、中部から四国の5エリアが13コマ、九州が15コマで、それぞれ0.01円が並んだ。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比1.05円高の30.47円、東北が同1.23円安の31.39円、東京が同0.77円安の32.02円、中部が同12.72円安の22.18円、北陸、関西、中国、四国の4エリアが同14.12円安の20.50円、九州が同7.81円安の13.25円だった。 売買入札量の週間平均は、前週比で売りが1.8%減の10億4,303万3,810kWh、買いが9.9%減の10億3,702万9,090kWhとなった。なお、18日受渡の売り札は、地震による火力発電の停止の影響により、8億6,216万3,750kWhに急減した。約定量の週間平均は、前週から5.6%減の8億6,718万5,080kWhだった。春の陽気が進んだことで全般的に買い気が低調となり、約定量も減少傾向となった。
3月14~18日の9エリアの電力需要は116億7,613万1,000kWhとなり、前週3月7~11日の132億5,626万3,000kWhから11.9%減少した。なお、曜日を合わせた前年の3月15~19日の需要実績は119億1,261万8,000kWhで、前年からの減少率は2.0%となった。
3月14~18日のJEPXの先渡市場では、14日に約定が確認された。東京エリアの3月19~25日受渡の週間24時間型で、30.00円が10MWだった。なお、数量はそれぞれ2MW、3MW、5MWで約定したという。
3月14~18日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
3月14~18日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
3月第四週の価格は、三連休明け22日の価格上昇に対する警戒が強まっている。22日の天気は、北海道を除く広い地域で雨雲に覆われる見通しとなり、太陽光発電が期待できないため、昼間価格に上昇圧力が強まると見られるためだ。加えて、東北地震の影響で停止した複数の火力発電が停止した状況が続くと、予備力の低い状態が解消されないため、売り札の減少傾向が続き、価格の上昇要因になりかねない。23日以降は天気も回復し、潤沢な太陽光発電が見込まれるものの、火力発電の動向次第では、極端な昼安/夜間高となり、24時間全体でも高値傾向が続く可能性がある。
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