電力=3月21~25日:季節外れの寒波で東京が停電危機に、スポットも暴騰
3月21~25日受渡の電力スポット価格24時間の週間平均は、東西ともに前週比で大幅高。季節外れの寒波が関東地方に押し寄せた22日は、東京エリアと東北エリアで初めてとなる「電力需給逼迫警報」が発令されるなど極めて厳しい需給状況となり、価格にも波及した。東京や東北、北海道の東日本3エリアでは、朝6時30分から80.00円を付ける動きとなり、東京エリアはそのまま23時30分まで80.00~80.02円が並ぶ展開となった。北海道エリアや東北エリアでは、日中時間帯で80円台は解消したものの、15時30分から再び80円台を付け、東京エリアと同様、23時30分まで80.00~80.02円を付けた。さらに、中部から九州の西日本6エリアでも昼間午前に80円が並ぶなど、一段高となった。このように極端な高値が並んだことで、22日受渡の24時間平均は東京で69.42円に達したほか、北海道と東北で54円台や56円台、中部から四国の5エリアで46円台、九州で37円台などとなった。 さらに、22日当日の時間前市場では、価格がさらに暴騰し、15時~16時30分に200.00円の高値を付けた。22日16時台は、東京エリアで最も需給が厳しい時間とされていたことで、「何としても調達するという動きの表れ」(新電力の市場取引担当者)との声も聞かれた。 燃料高が続くなか、16日夜に福島県沖を震源とする地震で、東北や東京の火力発電が複数停止し再開が遅れるなか、太陽光発電もほぼ期待できない状況での寒波到来となったことで、東京エリアと東北エリアでは予備力がゼロとなり、停電の危機も迫る格好となった。なお、寒波が多少緩んだ23日も高値傾向は続き、東京の24時間平均は76.73円と一段高となり、今年度の最高値を記録した。寒波の緩みと太陽光発電の復活で24日受渡は価格が急落したものの、2011年の東日本大震災以降でもっとも需給が厳しい週となった。
週を通じた実勢高値は、22日の東日本3エリアで付けた80.02円となった。一方、実勢安値は0.01円で、21日と25日が東京を除く8エリアとシステムプライス、24日が九州で付けた。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比8.85円高の39.32円、東北が同8.49円高の39.88円、東京が同16.23円高の48.25円、中部が同9.45円高の31.63円、北陸、関西、中国、四国の4エリアが同11.05円高の31.55円、九州が同15.35円高の28.60円だった。 売買入札量の週間平均は、前週比で売りが11.9%減の9億1,857万1,940kWh、買いが6.6%増の11億519万2,640kWhとなった。なお、21日受渡の売り札は、8億1,387万7,800kWhに急減した。約定量の週間平均は、前週から6.8%減の8億823万6,340kWhだった。
3月21~25日の9エリアの電力需要は124億3,735万6,000kWhとなり、前週3月14~18日の116億7,613万1,000kWhから6.5%増加した。なお、曜日を合わせた前年の3月22~26日の需要実績は117億4,992万kWhで、前年からの増加率は5.9%となった。
3月21~25日のJEPXの先渡市場では約定がなかった。
3月21~25日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
3月21~25日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
3月最終週の価格は、太陽光の増減で昼間価格の変動幅が大きくなりそう。気温は全般的に過ごしやすいものの、天気は変わりやすい予報。週前半は全国的に一定の晴れ間が広がるものの、週半ばは天気が崩れるところが多くなり、週末には再び晴れる見通しとなっている。21日の週のように、太陽光発電の増減が価格動向に大きく影響すると見られる。また、夕方や夜間価格は引き続き燃料高の影響で割高傾向が続くと見られ、晴れた日の昼夜格差は極端な昼安/夜間高となりそうだ。
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