LNG=5月30日~6月3日:中国企業の需要が低迷、長期契約の転売も散見
中国企業の多くは、夏場着のスポット購入に慎重な姿勢を示した。中国では、LNG在庫が潤沢な半面、需要が低迷。北京など華北の複数都市における行動規制が続く一方、上海では6月入り後、一部地域を除きロックダウン(都市封鎖)が解除された。中国の景気は6月末にかけて徐々に回復に転じると見られているものの、ガスを含むエネルギーの需要は伸びを欠いた。中国着相場が依然として20.00ドルを上回って推移するなど、長期契約玉に比べ割高な点も、中国企業がスポット購入を控える要因となった。華北の独立系エネルギー企業は7~8月着に対して、15.00ドルを下回る水準でなければスポット購入を検討出来ないと指摘した。華北では、タンクローリー向けのLNG価格がトンあたり7,000元前後に推移、20.00ドル超えの水準でLNGをスポット購入しても採算が取れないと付け加えた。これら需要が低迷する半面、LNG在庫は潤沢となった。中国国産の天然ガスの生産が増勢なうえ、夏場の需要期に向け中国海洋石油(CNOOC)など国営エネルギー企業が1月以降、多くをスポット購入するとともに、ロシアの制裁が強化されたことで余剰になったサハリン2プロジェクト(年産1,080万トン)の引き取りを進めた影響が出た。これら需給の緩さを受け、夏場着の供給に余裕のある一部中国企業は、長期契約玉の転売の検討を続けた。CNOOCに加え、中国石油化工(シノペック)など国営企業、新奥集団(ENN)、九豊集団(JOVO)、広匯能源(Guanghu Energy)など大手独立系企業はこれまでに6~8月着をスポット販売していた。
【FOB中東、DES南アジア、東南アジアおよび中東】 エジプト国営ガス会社(EGAS)は5月30日、6月6~7日にダミエッタプロジェクト(年産500万トン)もしくはイドゥクプロジェクト(同720万トン)で船積みするカーゴを対象とした販売入札を締め切った。EGASが5月に実施した販売入札は今回で3回目。エジプトのLNGは生産が順調なうえ、不需要期入りに伴い英BPや伊炭化水素公社(ENI)などが長期契約玉の引き取りを減らしているため、EGASの供給余力が多くなった。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 トルコ国営のボタシュが7日締め切りで、10月~2025年9月に到着する合計39カーゴを対象とした買付け入札を開示した。ボタシュは固定価格かトルコに供給されるパイプラインガスの価格に連動した価格での応札を求めた。ボタシュはスポット相場を割高と判断して、相場の変動が小さい短期~中期契約を結びたい意向を示した。
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