LNG=6月13~17日:相場は急騰、供給懸念が強材料に
【DES北東アジア】 米フリーポートプロジェクト(年産1,500万トン)の操業停止が長期化することを受け、供給懸念が強まっている。さらに、豪プレリュードプロジェクト(同390万トン)における労働者のストライキが長引いているほか、インドネシアのタングープロジェクト(年産760万トン)も配管の不具合で、第1液化設備(同360万トン)の稼働を一時的に止めていた。このなか、北東アジア向けの供給は全体的に少ない商況が続いている。反面、需要は徐々に増えている。INPEXは、14日締め切りの入札をとおし、プレリュードプロジェクトの代替玉を確保した。INPEXは今回、同社の直江津基地(年間受入能力210万トン)へ8月1~5日に到着する1カーゴを25.00ドル台で購入したようだ。加えて、夏場の需要を残していた韓国ガス公社(KOGAS)が7~9月着を数カーゴ購入したもようだ。この他、韓国中部電力(KOMIPO)が14日締め切りの入札で、8月22~24日着もしくは29~30日着のいずれか1カーゴを、北東アジア着のスポット市況に対して15~20セントのプレミアムで買い付けた。16日時点の8月前半北東アジア着相場は31.85ドルと、10日比8.00ドル高で推移している。
【FOB中東、DES南アジアおよび中東】 アラブ首長国連邦(UAE)のADNOC LNGが16日締めで7月29~31日にダス島プロジェクト(年産560万トン)で船積みする1カーゴを対象に販売入札を開示した。ADNOC LNGは北東アジアなどアジア地域へ到着するDESベースでの販売を予定している。ADNOC LNGは既報のとおり、2023年4~9月と2024年2月、4月、6~9月に船積みする各月1カーゴの販売を対象に関心表明書(EOI)の提示を募るなど、期先積みに対してもスポット供給余力を抱えている。エジプト国営ガス会社(EGAS)が13日に締め切った、6月28~29日にダミエッタプロジェクト(同500万トン)で船積みする1カーゴを対象とした販売入札は、キャンセルされたようだ。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 明確な買唱えこそ聞かれないものの、アルゼンチンやブラジルの需要家がスポット調達に関心を寄せているようだ。アルゼンチン国営IEASAは8~9月着カーゴの需要を抱えている様子。同社が近日中に買付け入札を開示すると市場関係者はみている。加えて、米フリーポートプロジェクト(年産1,500万トン)の出荷停止が長引くとの見通しから、ブラジルからも買い気が浮上してきそうだ。既報どおり、ブラジルは6月に入ってから同プロジェクト出しの3カーゴを受け入れている。このなか、市場関係者によると、ブラジル国営ペトロブラスが同プロジェクトの代わりとなるカーゴの手当てを検討している可能性があるという。 |