電力=5月8~12日:東京が独歩高に、市場分断が影響
5月8~12日受渡の電力スポット価格24時間の週間平均は、東西値差が拡大。東京中部間や東北東京間の市場分断が増えたことを受け、東京向きに割安な電気が流れにくくなり、東京が独歩高となったことを映した。なお、大型連休が明け、産業需要などが通常に戻るなか、引き続き電力スポットは天気の動向に左右される値動きとなり、太陽光が増えると0.01円が並ぶ天気となった。 東西のメインエリアである東京と関西の24時間平均の値差を見ると、8日が8.32円、9日が4.35円、10日が4.94円、11日が3.59円、12日は4.74円の東高西低だった。
燃料相場は、週初めから週後半に向けて軟化傾向となった。 北東アジア市場のLNGスポットは、週初めに期近の23年6月着品がmmBtuあたり10ドル台半ばだったが、週後半には10ドル台前半に値を崩した。大型連休前から、1ドル超の下落となる。北東アジア市場の需要の多くが高在庫を抱えるなか、転売の動きが散見されたほか、豪州品などの売り物も増えており、潤沢な供給が相場を圧迫した。また、欧州の天然ガス相場が軟調に推移したことも弱材料となった。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、23年6月積みが週初めはトンあたり160ドル台後半、週後半には160ドル超に軟化した。大型連休前からは、20ドル以上の下落となった。石炭単体の材料に乏しいなか、ガス価格や原油価格の軟化に連動した。石炭についても、引き続き欧州やアジアで高在庫の状況が解消されていないもよう。 原油相場は、12日午後時点でWTIの23年6月物がバレルあたり70ドル台半ば、ブレントの23年7月物が74ドル台半ばで推移している。週を通じて、強弱材料が拮抗したが、WTIは週初めが73ドル台、ブレントが77ドル台だったため、LNGや石炭と同様、週後半に向けて軟化傾向となった。米国の経済指標の悪化などが弱材料となった。
週を通じた実勢高値は、8日に北海道、東北、東京、中部の4エリアで付けた18.28円となった。実勢安値は0.01円となり、8日と12日は西日本とシステムプライスで、9日と10日は東京を除く8エリアとシステムプライスで、11日は全9エリアとシステムプライスでそれぞれ付けた。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が10.70円、東北が10.78円、東京が12.09円、中部が7.65円、北陸、関西、中国、四国が6.90円、九州が6.84円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が10億1,115万2,040kWh、買い札が7億5,554万3,790kWhとなった。約定量の週間平均は、6億4,506万4,860kWhだった。
5月8~12日の9エリアの電力需要は102億9,045万5,000kWhとなり、前週5月1~5日の85億3,415万2,000kWhから20.6%増加した。なお、曜日を合わせた前年の5月9~13日の需要実績は107億449万9,000kWhで、前年からの減少率は3.9%となった。
5月8~12日のJEPXの先渡市場では、約定が確認されなかった。
5月8~12日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
5月8~12日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
5月第3週は、週前半は過ごしやすい気温が続くものの、週後半に向けて気温が高くなる予報。九州から関東では、30度に迫る日もあると見られ、冷房需要が強まる可能性もある。また、天気は週前半が近畿から関東で、週後半は九州や四国などで雨の見通しだが、おおむね晴れ間が広がる見通し。このため、引き続き太陽光発電が価格の上値を抑える動きになると見られる。 なお、九州電力の川内原発2号機(定格出力89万kW、PWR型、鹿児島県薩摩川内市)が、13日から定期点検に入る。定検期間は8月中旬までの予定。足元では需要そのものが低調のため、同機の停止に伴う電力スポットへの影響は限定的と見られる。
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