LNG=8月7~11日:北東アジア、豪州スト懸念で急伸
【DES北東アジア】 DES北東アジア相場は急騰した。豪州出しの供給懸念が強まっている。豪資源開発大手のウッドサイドおよび米シェブロンが運営するLNGプロジェクトで、労働者ストライキの実施が計画されているためだ。ストライキが実施された場合、ウッドサイドが運営している北西豪州大陸棚プロジェクト(NWS、年産1,630万トン)およびプルートプロジェクト(同490万トン)と、シェブロンが運営しているゴーゴンプロジェクト(同1,650万トン)、ウィートストーンプロジェクト(同890万トン)の計4カ所でLNGの生産と出荷が停止するおそれがある。ただ、北東アジアは依然として需給が緩い。「供給懸念は散見されるが、実際に供給が減少してスポット調達の必要がある需要家は見られない」(日本都市ガス会社)。日本は大半の需要家が高在庫を抱えており、9~10月着のスポット購入に関心がない。ガス在庫が急減する要素も見られないようだ。中国も景気回復が進まないなか、スポット調達に消極的だ。ストライキに関する情報とは別に、ウッドサイドがエルエヌジージャパンと、プルート2プロジェクト(年産500万トン)出しを販売するHOA(基本合意書)を取り交わした。プルート2プロジェクトで液化される天然ガスは、豪州北西部の沖合に位置するスカボロ(scahborough)ガス田で生産される。契約は2026年起こしの10年で、年間12カーゴ。これは年間80万~90万トンに相当する。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 先週はシンガポール市場が祝日のため休場だったこともあり、商いは閑散。こうした中、中東ヨルダンのアカバ基地(年間受入能力380万トン)では、オマーンのカルハットLNGプロジェクト(年産1,090万トン)出しを積載した標準型「BW Everett」号(容量13万8,028立方メートル)が7月中に入着した。これは昨年6月以来、13カ月ぶりの輸入となる。インドでは、グジャラット州石油会社(GSPC)は4日に応札を締め切ったDESベースの買い付け入札で、9月1~15日ムンドラ基地(年間受入能力540万トン)着の1カーゴを購入した。落札価格は10.60~10.65ドルだった。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 DES欧州相場は急伸した。豪州のLNGプロジェクトにおいて労働者のストライキが実施されるとの見通しが強まり、エネルギーの供給不安が台頭。8月後半着の商談水準は11.60ドル前後まで切り上がり、期近着として4月19日以来約4か月ぶりの高値をつけた。欧州ではこのところ、ウクライナが黒海でロシアの原油タンカーを攻撃するなどエネルギーの供給不安がくすぶっていた。ノルウェーのトロールガス田の定修も長引き、強材料に反応しやすい地合いだったところに、豪州でのストライキ実行が差し迫り、相場は押し上げられた。
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