LNG=8月14~18日:豪州スト懸念も供給潤沢
【DES北東アジア】 豪州では豪資源大手のウッドサイドと米シェブロンが管理運営する複数のLNGプロジェクトで労働争議が続いており、引き続き市場関係者の注目は高い。こうした中、10月着は豪州やパプアニューギニア出しの販売入札が相次いでおり、供給は潤沢のようだ。米シェブロンは14日応札の締め切りで販売入札を開示し、ゴーゴンプロジェクト(年産1,650万トン)出し1カーゴを欧米トレーダーに10月前半北東アジア着ベースで販売したもよう。同社は労働争議で販売に消極的と伝えられていたが、最終的には販売に踏み切ったようだ。クウェート海外石油探鉱(KUFPEC)が15日締めで開示していたFOBベースの販売入札も、ポートフォリオプレーヤーが12.00ドルをわずかに下回る水準で落札したとみられている。対象は10月8~12日豪ウィートストーンプロジェクト(年産890万トン)積みの1カーゴで、伊藤忠が入札の実施を仲介していた。このほか、手持ち玉を抱えるポートフォリオプレーヤーも市場に見えている。英シェルは10月中旬着を14ドル台半ば以上で販売可能だ。さらに、関西電力が16日締めで開示していたDESベースの販売入札が、11月限の北東アジア着のスポット市況に対して40~70セントのディスカウントで落札された。対象は豪ゴーゴンプロジェクト(年産1,650万トン)出しで11月上旬に北東アジアへ到着する1カーゴだった。この落札価格が「現行の11月北東アジア着相場に比べ、極めて割安に映る」と日本企業は指摘している。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 インドではこのところ、複数の需要家が買い付け入札を継続的に実施しているが、成約に至る案件は限られている。「インドの需要家はあくまで安値を狙って購入に動く姿勢だ」(日本企業)。インド国営ガス会社(GAIL)は16日応札の締め切りで開示していた買い付け入札での購入を見送った。応札価格がGAILの想定を上回る水準だったため。入札の対象は9月5~10日ダムラ基地(年間受入能力500万トン)着の1カーゴだった。一方、エジプトでは8月中の天然ガスの需要が当面の間、底堅く推移する見通しだ。今後10日間のカイロの最高気温は熱波の影響で、例年を3~4度上回る36~37度で高止まりすると予想されている。冷房用の消費電力が大きいことから、火力発電向けで堅調なガス需要が見込まれている。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 DES欧州市場では、豪州の労働者ストライキに進展が見られないうえ、ノルウェーのトロール(Troll)ガス田で定修が実施されていることから、LNGおよび天然ガスの供給に対して引き締まり感が浮上している。ただ、欧州の天然ガス在庫が貯蔵能力の約90%まで積み上がっているため、「(貯蔵能力の制約から)スポット需要は鈍そう」(欧米企業)との声は根強い。一方、欧州の需要家のなかには、戦火でほとんど使用されていなかったウクライナの地下タンクの活用を検討している向きがいるようだ。
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