LNG=9月11~15日:豪スト、小康状態続く
【DES北東アジア】 豪ウィートストーンプロジェクト(年産890万トン)と豪ゴーゴンプロジェクト(同1,560万トン)で行われている労働争議は、労働組合側がストライキをエスカレートさせる様子は見られない。施設の保守管理を担当する労働者が業務を続けており、操業に支障は出ていない。運営者の米シェブロンと労働組合の協議は難航しているが、22日に予定されている公正労働委員会の開催まで事態が大きく急変する可能性は低いとみられている。加えて豪州では、定修のため北西豪州大陸棚プロジェクト(NWS、年産1,630万トン)の液化系列1基が操業を停止している。「計画外の操業停止ではないため、市場への影響は軽微」(同)と伝えられた。日本向けの商いでは9月に入り、関西電力や東北電力が入札を通して期近着を購入するなど、電力会社からの需要が旺盛に映る。日本の電力会社は「残暑が例年より暑かったことから、多くの電力会社はこれまでの計画より発電燃料用のガスを消費した可能性が高い」と伝えている。また東日本は降雨量が少なく、ダムの貯水率が低下している。このため水力発電の稼働が低調で、ガス火力発電の需要が伸びているもよう。「台風によって雨は定期的に降るが、ダムの位置する地域での降雨は少ない」(日本需要家)。中国向けの需要が見られる。中国石油天然気(ペトロチャイナ)が10月中旬着を、英シェルから13.25ドルで購入した。さらに中国国際連合石化(ユニペック)が15日締め切りで、DESベースの買い付け入札を開示した。対象は2023年10月着が1カーゴ、11月着が5カーゴ、12月着が7カーゴ、2024年1~12月着が各月1カーゴの合計25カーゴ。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 南アジアにおける需要は旺盛。インド国営ガス会社(GAIL)は14日応札の締め切りで、買い付け入札を開示した。対象は10月1~10日ダヘジ基地(年間受入能力1,750万トン)着の1カーゴ。同社は継続的に入札で購入しており、既報のとおり4日に締め切った入札では9月後半着のカーゴを買い付けている。一方、エジプトにおけるガス需要はようやくピークを越えたもよう。季節要因で気温が低下傾向に転じたことで、空調向けの電力消費が減少するとともに、火力発電向けのガスの需要が後退している。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 米フリーポートプロジェクト(年産1,500万トン)は天然ガスの供給不足を背景にLNGの生産を一時停止していたが、14日に操業を再開したようだ。市場関係者によると、「生産量は通常の半分以上までに回復してきている」(日本企業)。同プロジェクトは原料ガスの供給量がここ数日、通常の5分の1程度まで減少していた。南米ではアルゼンチンの需要が鈍化。冬が明けたことで暖房用の需要が後退。「冬季商戦はすでに終了」(日本企業)。さらに、今冬の気温が高めで推移していたことから、在庫の取り崩しが進まず、現時点での在庫も高水準でとどまっているもよう。スポットの購入に動く可能性は低いとみられている。アルゼンチン国営IEASAは既報のとおり、8月に2カーゴの引き取りをキャンセルしている。9月に入着が予定されているカーゴは現時点ではパーシャルカーゴのみ。
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