電力=10月2~6日:前週比で続落、グロスビディング廃止で約定量急減
10月2~6日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、東西ともに前週比で続落した。10月入り後も高めの気温が続いたものの、徐々に暑さが緩和傾向となり冷房需要が低下したことや、太陽光発電にも恵まれたため、昼間主導で下押し圧力が強まった。 また、2017年から導入されたグロスビディングが10月から廃止となった影響により、約定量が大きく減少する格好となった。4日には、約定量が5億9,495万5,200kWhと、平日としては2020年4月29日以来となる6億kWh割れとなった。市場関係者からは「売買入札量も目に見えて減少しており、とくに買い札の減少が目立つ」(新電力の需給担当者)との声も聞かれた。買い札の減少については、グロスビディング廃止と10月に入り買い気が低下したタイミングが合致した影響とみられる。 東西のメインエリアである東京と関西の24時間平均の値差を見ると、2日が5.03円、3日が3.26円、4日が4.53円、5日が3.86円、6日が3.85円の東高西低となった。
燃料相場は、前週末時点からLNG、石炭、原油のいずれも下落した。 北東アジア市場のLNGスポットは、週後半時点(10月5日)で期近の23年11月着品がmmBtuあたり13ドル台半ばとなった。前週末時点(9月29日)の11月着品は14ドル台後半だった。欧州の天然ガス相場が軟化傾向となり、北東アジア市場のLNG相場もつれ安となった。また、北東アジア市場では需給緩和感から売り物が増えたことも、相場の下押し材料となった。経済産業省が4日に公表した、10月1日時点の発電用LNGの在庫が162万トンと、前週の156万トンから6万トン増えた。ただ、前年10月末時点が253万トン、過去5年平均が201万トンのため、過去の実績から大きく低下している。大手電力関係者からは「各社ともに、自社の使用分はバランスしているはず」との声も聞かれており、夏場のような過剰在庫を抑制する動きが出ているもよう。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、週後半時点で23年11月積みがトンあたり138ドル台と、前週末時点から20ドル以上の大幅下落となった。ガス価格や原油価格の下落に連動した。 原油相場は、6日午前時点でWTIの23年11月物がバレルあたり82ドル台後半、ブレントの23年12月物が84ドル台半ばで推移している。前週末時点から、WTIは9ドル前後、ブレントは8ドル前後の大幅下落となった。金利上昇による景気悪化懸念、米ガソリン在庫の大幅な増加、ロシアによる燃料輸出の禁止措置の緩和など、多くの弱材料が相場を圧迫する要因となった。これまでの上昇で高値警戒感が出ていたことも、相場の下げ幅を拡大する材料となったもよう。
週を通じた実勢高値は、4日に東日本3エリアとシステムプライスで付けた19.65円となった。一方、実勢安値は0.01円で、九州が2日、4日、5日、6日、北海道と東北が2日、3日、6日でそれぞれ付けた。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比で1.28円安の11.97円、東北が同1.22円安の12.00円、東京が同0.39円安の13.99円、中部が同1.66円安の11.40円、北陸が同1.95円安の11.01円、関西と中国が同1.95円安の9.88円、四国が同1.81円安の9.84円、九州が同1.97円安の8.56円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から6.6%減の9億7,780万6,830kWh、買い札が同20.8%減の8億757万2,8200kWhとなった。約定量の週間平均は、同22.6%減の6億1,627万5,130kWhだった。
10月2~6日の9エリアの電力需要は107億7,246万5,000kWhとなり、前週9月25~29日の120億4,482万8,000kWhから10.6%減少した。なお、曜日を合わせた前年の10月3~7日の需要実績は113億7,829万3,000kWhで、前年からの減少率は5.3%となった。
10月2~6日のJEPXの先渡市場では、約定がなかった。
10月2~6日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
10月2~6日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
10月第2週の電力スポットは、一段と上値が抑制されそうだ。秋らしい気象動向が進む見通しで、冷房需要は一段と低下する見込み。また、週前半は全国的に雨雲が広がる見通しだが、週半ば以降は晴れ間が広がる予報となっているため、太陽光発電が昼間価格を圧迫する材料となりそう。また、燃料動向についても、現時点(10月6日)では上値の重い展開が続くとの見方も多く、電力スポットの上値を抑える一因になると見られる。
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