電力=11月6~10日:東西ともに前週比で反発、太陽光や市場分断が強材料に
11月6~10日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東西ともに反発。とくに西日本が大幅高となり、前週から東西値差も縮小した。前週に比べ、東京中部間や中部関西間の分断が減少し、西日本の価格を押し上げる材料となった。また、前週に比べて雲が多くなったため、太陽光発電が減少傾向となったことも強材料となった。とくに、11月に入り、日照時間も短くなってきているため、夕方に価格が切り上がる時間も早まってきている。 東西のメインエリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、6日が3.83円、7日が7.39円、8日が4.71円、9日が4.58円、10日が2.24円の東高西低となった。
燃料相場は、前週末時点からLNGおよび原油が下落し、石炭は変化に乏しい値動きとなった。 北東アジア市場のLNGスポットは、週後半時点(11月9日)で期近の23年12月着品がmmBtuあたり15ドル台半ばとなった。前週末時点(11月2日)の12月着品は16ドルだった。欧州の天然ガス相場が軟調に推移し、北東アジア市場のLNG相場もつれ安となった。また、北東アジア市場では売り物が散見された一方、買いの動きは盛り上がりに欠いたことも弱材料となった。経済産業省が8日に公表した、11月5日時点の発電用LNGの在庫が237万トンと、前週の218万トンから19万トン増えた。冬季に向けた在庫確保の動きが進んでいるほか、足元の電力需要が低調なことも在庫積み上げの材料となった。なお、前年11月末時点が255万トン、過去5年平均が212万トンだった。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、週後半時点で23年12月積みがトンあたり128ドル台後半となった。前週末時点の128ドルから小幅高となった。材料に乏しく、週を通じて小動きだった。 原油相場は、10日午後時点でWTIの23年12月物がバレルあたり76ドル台前半、ブレントの24年1月物が80ドル台半ばで推移している。前週末時点から、いずれも5ドル程度の大幅下落となった。中国の景気回復が遅れていることや、米国の原油在庫が増加傾向となり、需給の緩みが意識され、原油先物も下押し傾向が強まった。
週を通じた実勢高値は、10日に東京で付けた29.76円となった。一方、実勢安値は0.01円となり、7日は北海道、東北、九州、システムプライスで、9日は九州でそれぞれ付けた。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比で6.07円安の8.76円、東北が同5.85円安の8.76円、東京が同4.40円安の10.36円、中部が同2.45円安の9.48円、北陸、関西、中国、四国の4エリアが同1.63円安の7.52円、九州が同0.65円安の7.18円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から9.5%減の9億3,637万7,030kWh、買い札が同2.0%増の7億6,226万6,250kWhとなった。約定量の週間平均は、同1.4%減の6億29万4,760kWhだった。
11月6~10日の9エリアの電力需要は106億2,657万6,000kWhとなり、前週10月30日~11月3日の102億9,379万kWhから3.2%増加した。なお、曜日を合わせた前年の11月7~11日の需要実績は110億9,267万7,000kWhで、前年からの減少率は4.2%となった。
11月6~10日のJEPXの先渡市場では、約定がなかった。
11月6~10日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
11月6~10日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
11月第3週の電力スポットは、天気の動向で変動する展開が続きそう。週半ばまでは広い地域で晴れの日が多くなりそうだが、週後半には全国的に天気が崩れる見通しのため、週後半に向けて価格は右肩上がりになるとみられる。なお、気温はようやく秋らしい水準となり、北日本では冬に向けた寒さになりつつあるが、暖房需要はまだ限定的になるとみられ、空調需要が価格を押し上げる材料にはならない見込み。また、燃料動向も現時点(11月10日)で強材料は見当たらないため、電力スポットの強材料にはならないとみられる。
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